オリジナル小説
おばあさんは動かなくなってしまった。
キロはどうすればいいのか分からなかった。
死体の処理はしたことがあるけれど
いままで話をしていた人が今は動かなくなってそこにいることが信じられなかった。
キロ「あああ・・・」
キロはおばあさんの家から飛び出して走り出した。
使い魔「キロさん」
さっき悪魔が飛んで行ったのはこっちの方向だったはず。
キロは走り続けた。
こちらは火山のふもとへ向かっている。
いくら走っても
人ひとりいない誰もいない
夜も更けてきてきてあたりは何も見えない暗闇になった。
キロは走り続けた。
悪魔を追うために・・・
悪魔を追うために?・・・もしかしたら・・・おばあさんから逃げたんじゃ・・・
そう考えるほどにキロの胸の奥の方で黒いものが渦巻くような気がした。
ふと前方に人影が見えた。
キロ「・・・天使?」
ふわりと銀髪の少女が降り立つ。相変わらず、目が大きくて怖い。
天使「・・・あっちの方角へ行きなさい・・・そして片時も剣を手放しては駄目よ・・・・」
そういうと天使はまたどこかへいってしまった。
しばらく呆けていると
使い魔「キロさーーん、やっと追いつきました。」
キロ「ああ、使い魔か、いまお前んとこの上司が、あっちへいけってさ」
使い魔「ああ、ご主人様来てたんですね、おそらくあちらに”生と死を入れ替える悪魔”の本拠地があるんでしょう。」
キロ「アジトってことか・・・なんか城みたいな?」
使い魔「基本悪魔に住居なんて必要ありませんが、どうでしょうね?」
キロ「それと・・白い剣をずっと持ってろって」
使い魔「ああ、それは、大事なことですよ、あの悪魔は、普通の人間の魂を簡単に抜き取って殺すことができますからね。キロさんが無事だったのは、その剣を身に着けていたからなんですよ」
キロ「・・・・・」
使い魔「実際、あの悪魔は軽口をたたいていましたが、ずっとキロさんを殺す隙をうかがってましたよ。」
キロ「へ、へー」
キロは思い出して青ざめた。
そのころ時を同じくして・・・
ディアン「・・・・というわけお客様、もうすぐ、白い剣を持った男がここを訪れるでしょう。普通の人間となれば何人来ようがかまいませんが、あの剣だけは別です。あの剣は悪魔にとっての絶対毒、脅威なのです」
「・・・・もし、あなたがやられたらどうなるの?」
ディアン「わたしの魔力が著しく低下してしまい、ここに捕えた魂たちを繋ぎ止めておくことができなくなります。つまり・・・」
「やめて・・・・やめて」
ディアン「そこで!!お客様にひとつ協力してもらいたいのですが・・」
「・・・何をすればいいの?」
ディアン「ご心配にはおよびません。お客様への安心と信頼のサービス。それこそがわたしの誇りですので」
ディアンはシルクハットをひるがえし胸を張って高らかに叫んだ。