オリジナル小説

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100年後

アーシェはカルデラ城で100年前の記録を調べた。
その後父親がどうなったか、それを知らなければならない。
公式の記録には
ヘルツ=グラフェンはアーシェが失踪した後、自殺したと記されていた。
そして、カルデラの国に伝わる有名なおとぎ話にもそう語られていた。



アーシェは絶望した。
そして、自分の能力が時間を巻き戻すことであることに気が付いた。
過去に戻って父親を助けることにした。
100年の封印で吸収した魔力では、到底100年前に戻ることは到底できなかった。



魔力が足りない・・・



彼女はカルデラの宝物庫から白い剣を盗み出し、他の12匹の悪魔から魔力を奪おうことにした。
悪魔である彼女には、悪魔退治の剣である白い剣は、使うことができなかった。
この剣は、”人間”の心臓に魔力を蓄積させる道具だから・・・


アーシェは廃教会で呆然としていたキロに悪魔退治を依頼した。
自分のことを”天使”だと偽って、



今、12匹の悪魔の魔力がキロの心臓に貯められている。
これだけの魔力があれば、より広い範囲に、より長い時間を巻き戻すことが可能だ。


ただし、今まで経過した時間、歴史そのものを無に帰す。
その土地に生きた人間をその存在ごと抹消するようなものだ。
アーシェ自身、それがどんなに恐ろしく残酷なことか理解していた。
それでも彼女は止まらない。
アーシェは悪魔、己の欲望のために狂う不死身の存在なのだから・・・