オリジナル小説
キロと使い魔は客室に泊まった。
というかお酒でノックダウンしていた。
夜半過ぎ、イデア先生は、庭の椅子に腰かけて涼んでいた。
アーシェ「はじめまして」
アーシェはイデアの前に現れた。
イデア「・・・・アーシェさんだったかしら、話したいことがあるんだったらこっちに来て料理でも食べながらゆっくり話しましょう?キロ君は完全に眠っているようだし」
アーシェ「ここでいいわ、悪魔は食べる必要なんかないし」
イデア「ふふ、食べておいたほうがいいと思うけれど、今のあなたはただの人間に見えるから」
アーシェ「?」
・・・・・
アーシェ「あなたは、キロを治す方法を知ってるの?」
イデア「知らない・・・これは本当のこと」
アーシェ「・・・・」
イデア「でも、モールスには会ったことがあるわ、いいえ、良き相談者ってところだったかしら、彼女の魔力の研究について助言していたわ」
アーシェ「モールス・・」
イデア「最後に会ったのは、そう、あなたが、アーシェが死んだってニュースになってたときだった。最後に会った彼女はこう言っていた『とても素晴らしいレアケースを見つけた。もしかしたら、人の手で悪魔を作れるかもしれない』ってね。そして、彼女は西に旅立って行った。その後は知らない。」
イデア「もし、キロ君が死にそうになっても、心臓から魔力を取り出しては駄目よ」
アーシェ「・・・」
イデア「膨大過ぎる魔力は、悪魔の人格を崩壊させて、魔力のコントロールを奪うもの、あの時、キロ君があなたの暴走を止めてなかったら、カルデラの国がさら地になっていたわ」
イデア「あなたもキロ君と一緒に西へ行くといいわ」
アーシェ「一緒には行けない・・・」
イデア「どうして?」
アーシェ「私は・・キロをだまして、陥れて、彼の人生を無茶苦茶にしたわ、今更彼の前に姿を見せれない、でも、命は必ず助ける、それが私のけじめだもの」
イデア「いいじゃない、迷惑をかけた負い目なんて感じる必要ないわ、いい女は、男の人生を滅茶苦茶にするものよ?」
イデア先生はにんまりと悪い笑みを浮かべた。
アーシェ「・・・あなたの基準で話をすすめないで」
イデア「まあ、好きにすればいいけど、長く生きている先輩として、アドバイスをしてあげるわ、大切なものは常にそばに置いておいた方がいいわ、また、失うわよ?」
・・・それは、私の父親の話か・・・
アーシェ「・・・」
イデア先生は、アーシェが去ったあともしばらく涼んでいた。
彼女はもう何千年も生きていた。
彼女は死ねない、彼女は悪魔だからだ。
いつも過去に起こったたくさんのことを思い出す。
翌朝、
イデア「じゃあ、気をつけていってらっしゃい、」
キロ「一晩、泊めていただき、ありがとうございます。」
イデア「・・・その白い剣ならば、私を・・・殺せるかしら」
キロ「せ、先生?」
イデア「・・・あはは、冗談よ」
・・・今のキロ君に対して私の願いは我がままだ。
イデア「あなたが、生きて帰ってきて、話を聞かせてくれるのを待ってるわ」
キロ「・・・はい、できれば」
イデア「あ、そうだ、それから、恥ずかし屋な女の子に対しては、男の方からリードしてあげるべきよ。」
キロ「?」
使い魔「・・・」
キロ「何の話だったんだろう?」
使い魔「女の子っていう表現はどうかと思いますけどね・・」