はたく 不幸な日

はたく 不幸な日




裏路地の黒猫





孝一は『はたく』の調子が悪く・・・気持ちが沈んでいた。
それは、調子のよかった満月の日の後遺症のようなものなのだが、
今の孝一にはそれがわからない。



ご近所のひとに見つかりにくい素敵スポット裏路地


黒い猫がいる・・・
不吉だな・・・なんて
孝一「今日も壁殴りの確率・・・悪いかもしれないな・・・」





黒猫「・・・おのが不幸を・・・他者のせいにするなど・・・笑止」





ん・・・なんか聞こえたかな?・・・





壁を殴り始めて一時間・・・
んん・・・やっぱり調子が出ないな・・・
ちっとも振動する気がしない・・・






黒猫「今日は・・・腰が入っていないぞ・・・」






孝一は振り向いた。
難しい顔をした猫は・・・にゃあと鳴いた・・・
気のせい・・・気のせい・・・





今日は腰が入っていないか・・・
よし、腰を入れると・・・


だんだんと
調子が良くなってきた・・・気がした・・・





夕方・・・帰らないと・・・




黒猫は寝そべって、まだ自分をじーっと見ていた・・・

孝一「・・・お前のせいにして・・・悪かったよ・・・」
黒猫の難しい顔が少し緩んだように見えた。


孝一は異世界饅頭をお供えするように置いた。






壁壁壁・・・・・










美術館にて





あの作品をまばたきひとつせずに鑑賞する彼はきっとすばらしい目利きに違いない



孝一(・・・いい壁だな・・・)


大海(・・・きっと全然違うことを考えている気がする・・・)