大海さん転校する前に

大海さん転校する前に



変わらないこと・・・



中学2年の冬
ユズハ師匠が突然居なくなって凹んでいた。

その出来事に追い打ちをかけるように、
私は隣街に引っ越しして転校しなければならなくなった。



「灯り、お友達に会えなくなるのは寂しいと思うけれど・・・」
大海「・・・」
私は何も言えなかった、子供のように駄々をこねてみても両親を困らせるだけだから・・・




ユズハ師匠ばかりか・・・孝一君とも離れ離れになってしまう・・・




私は寂しい・・・





いっそのこと孝一君に告白をしてしまうのはどうだろうか・・・



大海「ずっと前から・・・孝一君のこと・・・好きでした・・・」
なんて言ってみたりなんかして
大海は顔から湯気が出そうなほど熱くなっていることに気づく。
そうだ・・・もうお尻に火がついているんだから・・・それしかないんじゃないだろうか・・・



孝一「大海の気持ちは嬉しいけど・・・ごめん・・・今は壁殴りのことしか・・・考えられないんだ・・・」



大海「・・・」
言いそう・・・絶対孝一君・・・言いそうだよ・・・


危ない・・・危ない・・・危うく自爆するところだった・・・ありがとう真田流『先読み』



じゃあ・・・どうすればいいんだ・・・このままズルズルと何もないまま疎遠になったら・・・




++++++++++++++
10年後、同窓会2次会にて、ふたりで飲みに行く大海と孝一

孝一「大海、びっくりするほどキレイになったよな・・・」
大海「孝一君だって・・・カッコよくなった・・・」

照れてうつむくふたり

大海「実は・・・私ね・・・中学2年の時・・・孝一君のこと・・・好きだったんだよ?」
孝一「・・・」
真っ赤になる孝一

孝一「・・・もったいないことしたな」


大海「じゃあね」
孝一「ああ」

名残惜しいけれど仕方ない
今はお互い付き合っているんだから・・・
+++++++++++++++



それだけは・・・絶対にダメだ・・・




『最悪の想定も必要だけど最高の想定も必要・・・』


+++++++++++++++++
高校入学、大海と孝一は同じ高校、同じクラスになる。

「・・・あの子可愛くない?」
「誰だよ、あの子」


孝一「よぉ、大海久しぶり」
大海「水上君、久しぶり」
にっこりと笑いかける私


「おい、お前、あんなかわいい子と知り合いなのかよ。」
「ずりいぞ、説明しろよ!」
孝一「ははは」

孝一(・・・やべぇ、大海めっちゃ可愛くなってるな・・・)
一気に女らしくなった私にドキドキする孝一君
+++++++++++++++++



・・・・・よしそれだ!!




$$$





夕刻、大海は近所で壁を殴っている孝一を見つけた。

大海(・・・お別れのあいさつ・・・しなきゃ・・・その流れでどこの高校に行くのかも聞ければいい・・・)



私は転校することを孝一君に伝えた。
一瞬寂しそうな顔に見えたのは私の願望だろか・・・



・・・やっぱり離れ離れは寂しいな
・・・もっと一緒に居たかったな



一気に感情が沸き上がって来て・・・泣きそうな気分になった・・・





孝一「大海・・・俺は・・・壁を殴り続ける」



大海「?」



孝一「俺が・・・壁を殴り続けるってことは・・・変わらないからな」
あと真田流の鍛錬も




大海「・・・」
孝一「・・・」




大海「うん・・・」




冷静に考えたら・・・少し引くところかもしれないけど・・・私はすごく勇気づけられたんだ・・・











孝一「大海・・・俺が壁を殴り続けるってことは・・・変わらないからな・・・」
















10年後・・・


実は・・・


でもお互いもう相手が・・・


それはダメーーー













寂しさや憤りを壁にぶつけているだけ・・・そうじゃない・・・はたく はそれじゃダメなんだ・・・