大海さん転校する前に
変わらないこと・・・
中学2年の冬
ユズハ師匠が突然居なくなって凹んでいた。
その出来事に追い打ちをかけるように、
私は隣街に引っ越しして転校しなければならなくなった。
「灯り、お友達に会えなくなるのは寂しいと思うけれど・・・」
大海「・・・」
私は何も言えなかった、子供のように駄々をこねてみても両親を困らせるだけだから・・・
ユズハ師匠ばかりか・・・孝一君とも離れ離れになってしまう・・・
私は寂しい・・・
いっそのこと孝一君に告白をしてしまうのはどうだろうか・・・
大海「ずっと前から・・・孝一君のこと・・・好きでした・・・」
なんて言ってみたりなんかして
大海は顔から湯気が出そうなほど熱くなっていることに気づく。
そうだ・・・もうお尻に火がついているんだから・・・それしかないんじゃないだろうか・・・
孝一「大海の気持ちは嬉しいけど・・・ごめん・・・今は壁殴りのことしか・・・考えられないんだ・・・」
大海「・・・」
言いそう・・・絶対孝一君・・・言いそうだよ・・・
危ない・・・危ない・・・危うく自爆するところだった・・・ありがとう真田流『先読み』
じゃあ・・・どうすればいいんだ・・・このままズルズルと何もないまま疎遠になったら・・・
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10年後、同窓会2次会にて、ふたりで飲みに行く大海と孝一
孝一「大海、びっくりするほどキレイになったよな・・・」
大海「孝一君だって・・・カッコよくなった・・・」
照れてうつむくふたり
大海「実は・・・私ね・・・中学2年の時・・・孝一君のこと・・・好きだったんだよ?」
孝一「・・・」
真っ赤になる孝一
孝一「・・・もったいないことしたな」
大海「じゃあね」
孝一「ああ」
名残惜しいけれど仕方ない
今はお互い付き合っているんだから・・・
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それだけは・・・絶対にダメだ・・・
『最悪の想定も必要だけど最高の想定も必要・・・』
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高校入学、大海と孝一は同じ高校、同じクラスになる。
「・・・あの子可愛くない?」
「誰だよ、あの子」
孝一「よぉ、大海久しぶり」
大海「水上君、久しぶり」
にっこりと笑いかける私
「おい、お前、あんなかわいい子と知り合いなのかよ。」
「ずりいぞ、説明しろよ!」
孝一「ははは」
孝一(・・・やべぇ、大海めっちゃ可愛くなってるな・・・)
一気に女らしくなった私にドキドキする孝一君
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・・・・・よしそれだ!!
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夕刻、大海は近所で壁を殴っている孝一を見つけた。
大海(・・・お別れのあいさつ・・・しなきゃ・・・その流れでどこの高校に行くのかも聞ければいい・・・)
私は転校することを孝一君に伝えた。
一瞬寂しそうな顔に見えたのは私の願望だろか・・・
・・・やっぱり離れ離れは寂しいな
・・・もっと一緒に居たかったな
一気に感情が沸き上がって来て・・・泣きそうな気分になった・・・
孝一「大海・・・俺は・・・壁を殴り続ける」
大海「?」
孝一「俺が・・・壁を殴り続けるってことは・・・変わらないからな」
あと真田流の鍛錬も
大海「・・・」
孝一「・・・」
大海「うん・・・」
冷静に考えたら・・・少し引くところかもしれないけど・・・私はすごく勇気づけられたんだ・・・
孝一「大海・・・俺が壁を殴り続けるってことは・・・変わらないからな・・・」
10年後・・・
実は・・・
でもお互いもう相手が・・・
それはダメーーー
寂しさや憤りを壁にぶつけているだけ・・・そうじゃない・・・はたく はそれじゃダメなんだ・・・