ウツロ ミレスの夢とトウカゲちゃん


ミレスの夢とかゆみ風切り




ミレスは夢を見る。




大きな大きな骸骨の騎士・・・
下半身は無く、上半身だけで宙に浮かぶ・・・

ラグベールの城が崩壊してく・・・
灰色の煙でたくさんの人が死に絶えていく・・・

私は恐ろしさのあまり動くことすらままならない・・・


誰かが奴の前に立ちはだかる。


誰だ?・・・


あれは毎日夕食を持ってきてくれるヒト・・・



・・・・



ミレスは目を覚ます。
汗をびっしょりかいていた。
寒気のする恐ろしい夢だった。


ミレスは部屋の水を飲んで落ち着く。感情を無くしてからというもの、夢を見ること自体珍しかった。しかも、こんなにもはっきり覚えているなんて・・・


魔力が高い者はまれに『予知夢』なるものを見ると教わったことがあるな・・・まさかあれが予知夢だったんだろうか。

城が崩壊して、あの男の子に助けられるなどという未来が来るということか・・・

ミレスは気のせいだと思いなおした。『彼に助けられる』ということが起きるなんて到底思えなかったからだ。




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最初に魔法を覚えてから1ヵ月が経過した。
ウツロは今日も必死に枝から葉っぱを落とそうと頑張っている。



ジレン「お前・・・まだそれやってたのかよ・・・」



ウツロ「・・・」
その・・・『流行遅れの遊びやってる』みたいな言い方やめろ



ウツロ「冷やかしに来るな、また風切りを食らわせるぞ・・・」
ジレン「あーそれ困るな・・・お前の『風切り』めっちゃ『かゆい』し」


少し前、誤ってウツロの風切りがジレンの腕に当たってしまった。
ウツロは怪我を心配したが、痛みはなく、ジレン曰く、『すごく かゆかった』らしい。


く・・・馬鹿にして・・・



ウツロ「今朝の修行で、『痛かゆい』くらいには成長しているはずだ・・・」
ジレン(『かゆい』は残るのかよ・・・)



ウツロはジレンの腕に風切りをヒットさせる。



ジレン「おお!」





ジレン「ウツロ・・・いつもより『かゆみ』が増してるぜ・・・」
ウツロ「・・・」




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ウツロは小川の水を飲んで一息つく。
ジレン「ウツロ・・・これを見て欲しい。」

ジレンは古びた本を取り出す。
ジレン「これは『魔法の書』といって魔法協会本部から命令が届くんだが・・・」


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ジレン=ハウル―様

ラグベール城の見取り図作成の件、どうなっていますか?
現在の進捗をお聞かせください。

トウカゲ=ハイイロ
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ジレン「・・・」
ウツロ「・・・」


ジレン「協力してもらえないだろうか・・・」
ウツロ「やだよ」


ジレン「・・・お前・・・魔法教えてやったろ?」
ウツロ「身分証明書を返したし・・・あれでチャラだよ」
これ以上やったら本気でスパイになってしまう


ジレン「・・・これ以上提出 延ばしたら上司に怒られるだろうが・・・」
ウツロ「知るか」






「ジレン・・・」






後ろから可愛らしい声が聞こえた・・・
ウツロは振り向く、小さな女の子がそこに立っていた。
紫の服にふんわりとした灰色の髪の少女だった。

見るとジレンは冷や汗をかいている。

ジレン「・・・と・・・トウカゲ様・・・」



トウカゲ?・・・
そういえばさっきのメッセージの差出人の名前がそんなだったような・・・


え、この女の子が上司・・・






明日、時代が変わる・・・楽しみにしておいてくれ・・・