ウツロ ケーススタディ


事例検証にて





事例検証とは、魔法協会の勉強活動の一環である。
『念写の画像一枚』に対して、「こんなことが想定される」「こんな危険が潜んでいるかもしれない」「どのように解決するのが望ましいか」などをベテラン若手混じって議論する情報交換と勉強会のようなもので、月一程度支部にいるメンバー全員で開催される。一応、業務時間としてカウントされる。




本日は北支部の事例検証の日である。
わらわらと打ち合わせスペースに集まる北支部面々・・・



ウツロは開始時間少し前にささっと後方奥に座る・・・
ギリギリに行くと一番前に座ることになるからな・・・



少しあとにミラが来た・・・
ちらちら周りを見渡して・・・
ウツロを見つけると・・・隣に座って・・・なおかつ椅子をこちらへ近づける・・・



ウツロ「・・・」
おい・・・



ミラ「?」



ウツロ「あっちの女性陣に混ざってこい・・・」
ミラ「むー」



不満そうにケーリーの方へ行くミラ・・・ウツロは安心してため息をついた。





$$$





事例検証が始まった・・・



●事例1『広い平原に弱そうなゴブリン1匹』

「この種類は狂暴だけど、力も弱いし、油断しなければ遅れはとらないな」
「確かに」
「周りに仲間がいるという可能性は?」
「この画像を見る限りじゃあ単独行動をしているとしか・・・」
「剣をもっているけど、投げてくる可能性も考慮すべきだな」

出た意見はひとつづつ・・・黒板に書き取られていく・・・


ウツロは考えるふりをしながらぼーっと黒板を見るふりをする・・・
それはいつもの事であった・・・意見など・・・ないです。



「ほかにありませんか?」



ミラ「はい」
ミラが手を挙げる。


「仲間の剣士の『カッコいい剣さばき』に気を取られて・・・『ぽーっとなってしまう』ことも考慮すべきですッ」




・・・!?
ウツロはびっくりして吹き出しそうになった。




「・・・えーっと・・・そんなこと起こり得るかしら・・・」




ミラ「・・・ええ・・・日常茶飯事です」
どや顔で答えるミラ・・・




おいぃいい・・・何言ってんのこの子・・・

そういえば・・・

魔獣との戦闘中たまにミラが・・・ぼーっとこっちを見て・・・上の空の時があるな・・・これのことなのか・・・戦いの時ぐらい集中しろよッ




ウツロはミラを睨みつける・・・
いらないことを言ったことに気が付いて・・・少し涙目のミラ




ケーリー「ウツロさんは・・・前に・・・『ミラの胸部が気になって戦いに集中できない』と言っていたらしいですし・・・お互い様ではないかと・・・」




ウツロ「!」



どっと起こる笑い・・・



ウツロは死にたい気分だった・・・





ケーリー「ウツロさんは・・・前に・・・『ミラの胸部が気になって戦いに集中できない』と言っていたらしいですし・・・お互い様ではないかと・・・」




ウツロ「・・・」



どっと起こる笑い・・・



ウツロは死にたい気分だった・・・