【魔法協会創設編】鉄の森の魔女
鉄の森は・・・
ラグベールとクラスティアの国境にあり、両陣営における一番の要所である。
しかし、
この地は誰も踏み入ることのできない空白地帯であった・・・
ひとたび森に踏み入れば・・・
鉄の魔女と鋼鉄の鎧達の鉄槌を受け、生きて帰ることは叶わない・・・
$$$
アクア「・・・あなたは頭がおかしいのです」
森の中を進むアクアローナとアルザス・・・
ふたりに課せられた任務は「鉄の魔女の説得」であった。
確かに現状「北の森」を押さえられたらクラスティアに活路が無くなりますが・・・
それでも、この任務はあまりに危険・・・危険すぎます・・・
アルザスはそれでも意気揚々と進んでいく。
「それでも私は信じている。彼らが真に心を開いて『デレ』てくれるその瞬間を・・・」
駄目だこのひと・・・
きっとこういうのを『危ない宗教にハマる』というのですね・・・
鉄の森・・・
鋼鉄城へ進む道・・・
(アルザス・・・このまま・・・何処か遠くの国へ逃げてしまうのは・・・どうですか)
何度も・・・何度も・・・その言葉が頭に浮かんだ・・・
鋼鉄城の主サリアーデ=クラムハザードは同世代の少女に見えた・・・
彼女の周りにふわふわと剣や槍が宙に浮かんで漂う・・・
「クラスティア王国の使者」そういった瞬間彼女の表情が変わる・・・
「死ね」そう呟いた次の瞬間、高速で飛来した剣がアルザスの胸に突き刺さる・・・
「先日・・・クラスティア王国の鎧を身に纏った奴らが、東の森に火を放った・・・心当たりはあるかや?・・・まぁいい・・・お前らの死体を並べて、奴らへの見せしめにでもしよう・・・」
槍がアクアローナの方へ射出される・・・
アルザスが大剣でそれを弾き飛ばす・・・
「なんじゃ・・・お主は・・・動く死体ゾンビか?」
「・・・理由はよくわからないけど・・・戦う気ならこっちも本気で行かせてもらうよ」
アルザスは風の魔法を纏い、サリアに突進する・・・
四方から飛んでくる剣、槍、斧をすべて弾き飛ばし、
大剣を振りかぶってサリアを捉える。
ガキン
風の魔法を纏った大剣は大きく地面をえぐる・・・
サリアの体を狙ったはずが大きく逸れたのだ・・・
「どんな怪力も優れた魔法も・・・その剣が『鉄』である限り・・・ワシの思いのままじゃ」
サリアが腕を振り上げると大剣はアルザスの手を離れて天井に刺さり・・・
サリアの剣が四方からアルザスに迫る・・・
水障壁ウォーターウォール
水の障壁がアルザスを間一髪守る。
「鉄の森の主・・・サリアーデ様・・・森への焼き討ち・・・それは決してわたくしたちの犯行ではありません・・・」
私たちはラグベール軍その戦いに対して協力を依頼するために馳せ参じました・・・
どうかご助力承りたく存じます・・・
「ふん・・・協力といわず、ワシを屈服させてみたらどうじゃ?・・・アウディーネの小娘よ」
「それでは・・・僭越ながら・・・お相手させていただきますわ」
アクアローナは・・・
にこりとほほ笑みお辞儀をした。
サリアの背後の巨大な水の巨人が現れ、拳を叩き付ける。
アクアローナの悲鳴が周囲に響き渡る・・・
「逃げて・・・」
アルザスの声に力はなかった・・・
ははは・・・まったく・・・
「ナメた真似をしてくれるではないか」
「アルザス・・・このまま・・・何処か遠くの国へ逃げてしまうのはどうですか」
「・・・」
「・・・それは・・・できないよ」
ラグベールに組したと噂の立つ彼女に説得を試みろという内容であるが・・・
鉄の森・・・
鋼鉄城へ進む道・・・
不思議なほどにすんなりと通ることが出来た・・・
不思議なほどにすんなりと通ることが出来た・・・
特にクラスティアの民衆は周囲に近づくことすら絶対にしない。
クラスティアが大規模魔法による戦闘を得意とするならば、
ラグベールは意思疎通のとれた軍隊と敵を混乱させる情報戦や謀略に長けていた。