【魔法協会創設編】サリアーデの能力

【魔法協会創設編】サリアーデの能力





鉄の魔女はクラスティア王国で最も恐れられる魔女である。





数十年前、
鉄の魔女率いる数千の鎧の軍隊が首都リムガントを包囲した事件も記憶に新しい。
(その原因自体はささいな事だったらしいが・・・)

鎧に生命を吹き込み不死の鎧兵団を操る魔法は『鉄死行進』と呼ばれ、
鉄の魔女を最強たらしめる。





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北の森近くの砦の一室で
アクアローナとアルザスは捕縛したサリアーデを見張る。



気まずい時間が流れる・・・



アクア「しかし、困りましたね、鉄の檻では意味がありませんし」
サリア「心配せずとも、逃げんわい」



アクア「流石にずっと魔力を吸い続けるのも疲れてきましたねぇ」
サリア(その割には・・・肌がつやつやしとらんかの・・・)
アクアローナはひとまず魔力吸収を止める。



アルザスはじっとサリアを凝視する。



ごくり・・・
サリアは生唾を飲む。
(一部の隙も無くワシを監視しとるというところか・・・こやつ・・・単純な戦闘力ならばアウディーネの娘よりも上のようじゃしな・・・)



アルザスはこっそりアクアローナに耳打ちをした。
(どうしよう・・・あの子・・・とても高い『ツンデーレポテンシャル』を秘めている気がするよッ)



アルザス・・・
あなた真剣な顔でそんな下らないこと考えていたのですね・・・





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数時間後、
北の森の放火犯とおぼしき男たちが捕縛されたという一報が入る。

クラスティア軍の鎧やらの証拠品が出そろってなお口を割ろうとしないらしい。
アクアローナ達の前に連れ出されてもなおその姿勢を変えない。

アクア(まずいですわね・・・拷問して吐かせても強要したとみられかねないですし・・・)



サリアは何も言わず・・・
鎧の方へ駆け寄り手を触れる・・・



サリア「そうか・・・その男はラグベールのスパイで・・・元の主はそいつに殺されたか・・・」



主を殺され、主の愛した祖国への濡れ衣の道具として使われて・・・さぞかし無念じゃっただろう・・・



「は?何言ってんだよ、鎧が喋るわけないだろ」




サリア「黙れよ」
サリアの迫力に圧されて男は沈黙する。




ワシと共に来い・・・一緒に主の仇を打とう・・・



その鎧は細かく震えていた。
涙を流して泣いているようにも見える。
鎧は淡く輝いて、組みあがり・・・サリアの前で膝をつく・・・



「約束じゃからな、ワシもお前らに手を貸そう」
この時よりサリアは私たちの仲間になったのだった。










クラスティアの国民は小さい頃から
北の森の鉄の魔女には絶対に近づいてはならないと教えられる。




鉄の魔女はクラスティア王国で最も恐れられる魔女である。




数十年前、
鉄の魔女率いる数千の鎧の軍隊が、
首都リムガントを包囲する事件も記憶に新しく
クラスティアの国民は小さい頃から
北の森の鉄の魔女には絶対に近づいてはならないと教えられる。





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その発端は国王の命で北の森の花畑を開拓しようとしたからという ささいなきっかけ であったらしい。