はたく(仮)
この世の中には希望がない・・・
中学2年、大海灯りは考える。
技術の進歩もなく、
未知世界だってテレビやネットでいくらでも見て閉塞した世界
なんてつまらなくて、絶望に満ちているんだろう
・・・そんなことを日々考えて過ごしていた。
学校のチャイムの音が響く。
「おはよう」
「おはよう」
あいさつの声・・・
私の顔を見た途端、クラスメイトは口をつぐむ。
私は構わず、席に座って窓の外を見た。
(早く・・・帰りたい)
ふと校舎裏の壁に男子生徒がポツリと立っているのが見えた。
ぽつりぽつりと独り言をつぶやきながら
真剣な顔で壁を睨みつけている。
・・・何をしているんだろ?
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私はクラスで無視されている。
元からクラスカーストトップの女子から嫌われていた。
その子の好きな悠馬君から告白されて、断ったこともさらにそれに拍車をかけた。
辛い・・・ここに居るのが・・・辛い。
昼休み、
クラスの女子から呼び出しを受ける。
数人に囲まれて逆らえなかった。
校舎裏の壁に追いつめられる。
「なぁ今日もお前・・・悠馬君に色目使ったよなぁ?」
ドンと手を壁に叩きつける。
「色目なんて・・・使って・・・ない」
クスクスと笑う取り巻きたち
悔しくて言い返したいのに・・・怖くて怯えてしまう
涙が出そうになる・・・
怖い・・・怖いよ・・・誰か・・・助けて・・・
ズン!!!!
衝撃がお腹にずしりと響く。
音はない・・・電流の様に通り抜けた衝撃でお腹が熱かった。
彼女たちは一斉に振り向く。
数m先で朝の男子が壁を殴っていた。
彼の名前は『水上孝一』・・・
彼は・・・私にとっての・・・希望の光そのものだった。
リアルなのに壁を殴る男子
俺は5歳の時
ある人物にそう話した