ウツロ 【行商人編】ファシルドール

【行商人編】いざ、ファシルドール 男衆のそわそわ




行商団はあと数日でファルシドールに到着見込みだ。




ファルシドール
西の国最大の行楽都市、サーカス歌劇絵画、芸術関連の中心地であり、カジノや賭け事なども盛んな野
望渦巻く街である。


ウツロは行商団の男衆が妙にそわそわしていることに気づく。
そして、必死にお金を集めようとしている。


「どうしたんだよ?お酒を我慢してまでお金を貯めようとするなんて」


ウツロの疑問に男衆はため息をつく。
そして、物陰にウツロを連れ込み耳打ちする。



「『娼館』だよ」
「娼館!?」
「しっ声がでかい」

「女衆には絶対に気取られるなよ」
「・・・」



午後、荷を運び仕事をこなしながらウツロは考える。

娼館・・・女の人とコニョコニョできる。

いやいや、そういうことは結婚して彼でないと
宗教倫理的にねぇ・・・

・・・


夕食後、
ウツロはこっそり物陰で話をする

「あのさ・・・」
「?」


「いくら ぐらい かかる?」

「何が?」


「わかってる癖に、知らんぷりやめろ」

「ははっ」
彼は手を差し出す。

・・・情報料・・・ちくしょう



・・・


カルロ「ねぇ親方・・・」

親方「ん?」

カルロ「・・・ファルシドールに近づくと男衆がお金を貯めだすのはなんでだい?」



ぶぶっ・・・
親方は口に含んだ水を吐き出す。



まさか、知らないのか・・・
誰よりも耳年増な彼女であるが、行商団員男衆の必死な努力のたまものであったらしい。




$$$




ウツロ「カルロ、俺仕事頑張るから・・・お小遣い、もう少し欲しいんだが」



ウツロも遅れを取り戻さんと必死に働く。
いつもサボり気味なウツロ・・・

(どういうことだ、これ)

その様子をカルロは訝し気に見つめていた。