ウツロ 魔鎚のミヅチ

魔法協会員、魔鎚のミヅチ 過去編





【魔鎚のミヅチ編】その男ギャンブラーにつき




魔法協会員、魔鎚のミヅチ過去編




我が名はドラクロワ、吸血鬼の王である。
この古城に居を構えていく年かが過ぎた。
最初は人間たちの軍隊が攻めてきたこともあったが、皆殺しにしてやった。
近頃はここに近寄る人間もいなくなった。

我はずっとこの辺境の地に留まるつもりはない。
ここ数年、部下も増えてきた。もうそろそろ他国の領地を侵略し、この大陸全土を我の領地にしても良い頃かもしれん・・・まずは手始めにかの有名な魔法協会が守護するクラスティア王国でも陥落させてやろう・・・ふふ



そういえば、今日は『変な人間』が単身攻めてきたな・・・



ワシの魔法で腹を掻っ捌いて、部下にゴミ捨て場へ放棄させた。
まぁ取るに足らないゴミムシのこと、明日になったら記憶にも残らんだろう。




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古城、死体置き場にて
ミズチという名の男が血を流して倒れていた。
そのカッコは・・・パンツ一丁であった。


突然
黒い霧の中から少女が現れ、その男にポーションを飲ませる。


トウカゲ「ミヅチちゃん、大丈夫?ひどい目にあったね・・・身ぐるみまで剥がされて」

ミヅチ「いえ、それは来る途中のカジノで剥がれました・・・途中までは大勝していたんですが・・・ね」

トウカゲ「ああ、それ以上言わなくていいよ」
いつもの事だし



・・・というかパンイチで 奴に挑んだの?!



ミヅチ「いいえ、奴はきっと万全の状態鎧着たでも勝てなかったでしょう・・・敵ながら天晴です」
トウカゲ「・・・そういうことが言いたいんじゃないんだけどね」



ふと・・・
禍々しいオーラを放つ何かがミズチの目に入る。



ミズチ「これは?」



そこにうち捨てられていたのは、
大きな鎚ハンマーだった。


トウカゲはおそるおそる その武器を見る。


これは・・・魔武器だね・・・
魔武器とは魔法が付与された武器で特殊な性能が付与されている。
経験上、だいたいろくでもない嫌がらせみたいな効果が多い。



トウカゲは魔術を解析していく・・・



【魔鎚】
衝撃を内にため込む特性を持つ、時々それを放出するため
ごくまれにすごい攻撃ができる武器、普段の攻撃力は0に等しい・・・



ミヅチ「つまり、掛け金のつりあがった宝くじみたいな武器だと」
トウカゲ「平たく言うとそうなのかな?」
なんだその例え



ミヅチは立ち上がる。
「勝てる、この武器さえあれば勝てるッ!!」


そして、一直線に駆けて行く。



トウカゲ「あ、ちょっと待って、まだ傷口ふさがってないよ」
彼女の言葉など彼の耳には入らない。




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古城の主、ドラクロワは思い出す。




彼には主あるじが居た。
いけ好かない奴だった。
自分を奴隷か犬の様に鞭打って従えた。
それでも、褒美を得るために奴の靴を舐めるしかなかった。
そんな時だ、魔鎚を手に入れたのは・・・

それは一か八かの賭けだった。
その賭けに勝った我は一撃で奴を葬り去り、今の地位を得ることができたのだ。
魔鎚には感謝をしているが、


あれ、めっちゃ強力だが、確率武器で使いにくいからな、今はどこにしまったかも忘れていた。



その日、そんな魔鎚を持った男がパンイチで現れた。



「ははっ、こいつまた殺されにきたぜ」
「ぎゃははは」
「人間って動物は学習能力がないんだな、はは」

ドラクロワ様、我らが主よ、殺ってしまって下さい」
ドラクロワ様!!」
ドラクロワ様!!」


なぜか、我が戦う流れになっていた・・・
く、後に引けん


あの確率武器が当たることなど万が一にもないだろう・・・だが、もしもがあればどうなる?


もし当たれば・・・ヤバい



・・・




我の消極的な飛び道具をことごとく打ち払う、男
く、この男一丁前に学習してやがる。

するどい踏み込みから撃ち下ろされる魔鎚、
(魔法障壁で防御・・・いや、もし攻撃が当たれば・・・そんなもの無力)


ひ・・・


たまらず距離を取る。
冷や汗を隠せているだろうか
奴を殺すのはたやすい、魔鎚が当たらないと高をくくって防御して一撃入れればいいのだ。


・・
・・・
ふざけるな
この地位を得るためにどれだけの物を積み上げたと思っている。
怖い怖い怖い
どれだけ確率が低かろうが、
失うものが大きすぎるッ

「ははははははは・・・・教えてやろう愚かな人間よ、その武器は魔鎚と言って、ごくまれにしか攻撃することのできない、くそ武器だ。それでは我に絶対に勝てぬぞ」
さぁ、あきらめろ、人間!!



「ふ・・・そんなこと百も承知だ・・・俺は分の悪い賭けは嫌いじゃない・・・・・・むしろ大好きだ」


・・
・・・・
怖ッ、こいつ、イカれてやがる




「絶対に勝てないか・・・いや・・・勝てる」




俺は・・・引きが強いんだ!!





「黙れ!!『ツキの無さそうな顔』しよってからに!!!」
最大速度で奴に突進する。
その時の我は怒りで冷静さを欠いていた、いや乗せられていたのだ・・・




ぬん!!!!!




最後に見えたのは、
男の魔鎚が白く発光している姿だった・・・
全く、因果応報とはよく言ったものだ・・・な・・・・




ズガン!!!!!!




魔鎚の一撃で、城ごと真っ二つに割れた。





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ドラクロワ討伐を成し遂げ
大金を手にして
魔法協会を辞めると言って旅立つミヅチ・・・


トウカゲは無表情でそれを見送る。


1か月後、
パンイチで再び現れ、また、雇って下さいと土下座する。

それもまたいつもの事・・・









【魔鎚のミヅチ編】その男ギャンブラーにつき その2







底辺に生まれた俺がどうすれば成り上がれる?




例えば、人生をギャンブルに例えてみよう。
底辺に生まれたということは、軍資金が少ないということだ。
賭けるベットする額が少ないのだ、当然、大勝ちするには、倍率オッズの高い賭けをしなくてはならないだろう・・・それだ。




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ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい・・・
あの武器がもし我に当たってしまえば、我 木っ端みじんになろう・・・



底辺に生まれた俺がどうすれば成り上がれる?



例えば、人生をギャンブルに例えてみよう。
底辺に生まれたということは、軍資金が少ないということだ。
賭けるベットする額が少ないのだ、当然、大勝ちするには、倍率オッズの高い賭けをしなくてはならないだろう・・・それだ。



$$$









底辺に生まれた俺はどうすれば成り上がれる?




なぜそうも必死に戦おうとする?
我に殺された者への恨みか?






あの武器はヤバい・・・
冷や汗



ネタ武器






駄目だ・・・失うものが大きすぎる・・・


俺は引きが強いんだ


女神様から力をもらう事なんてありはしない。
突然、覚醒するなんてこともない。


今日までしがない魔法協会員としてこき使われてきた。
辛い仕事だ。できることなら働きたくない、一発当てて一生楽して暮らしたい。


その男 ミヅチ はパンツ一丁だった。

「おい、お前どうしてパンツ一丁なんだよ?」
「・・・昨日、ギャンブルで磨すった」



改めて考える。


どうすれば成り上がれる?


例えば、人生をギャンブルに例えてみよう。
底辺に生まれたということは、軍資金が少ないということだ。
賭けるベットする額が少ないのだ、当然、大勝ちするには、倍率オッズの高い賭けをしなくてはならないだろう。


近頃の街はどこか閑散として活気がない。


吸血鬼の王ドラクロワが住み着いたってね。
領主が傭兵団を派遣したけど、全員殺されたってさ・・・
もうあそこには誰も近寄らない。
近々、村を襲うって噂もある・・・速く逃げた方がいい。


「・・・それだ」


俺はその場で思い付き、一目散で奴の城へ向かう。
途中、たくさんの人に止められたが、なんとか振り切った。
皆、俺の事を憐みの目で見ていた。



奴の住処は古城だった。
たくさんの部下を従える奴はまるで魔王・・・




ドラクロワ討伐を成し遂げ
大金を手にして
魔法協会を辞めると言って旅立つミヅチ・・・


トウカゲは無表情でそれを見送る。


1か月後、
パンイチで再び現れ、また、雇って下さいと土下座する

それもまたいつもの事・・・