脛蹴り 意味がねぇ


空虚な目的意識




意味がない




この言葉が口癖になったのはいつからだったか
ケイシュウ=ミヅチは考える。


連合国と帝国の領土争いに毛ほどの興味も感じない。
ただの幼い子供の陣地合戦のように感じる。

だから、このスパイ捜索の仕事もどうにも乗り気になれない。



意味がない・・・か


ふと、昔、
師匠に脛を蹴られて・・・立てなかった時の映像が頭にちらつく・・・




だが・・・今はまだ
リジェットさんに従っておく必要がある。
俺の目的のために、自分の利益のために、それは必要なことなんだ。





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パーティー会場の外に出る。
持ち場を離れるのはまずいが、外の空気を吸いたくなった。



男とぶつかる。

「おっと大丈夫か?悪いな急いでたもので」

髭の男は爽やかに去っていく。



・・・あの脛スネ・・・前に飯屋レストランで見かけたことがあったな
ずいぶんお酒を飲みながら。「俺が祖国を救う」とかどうのこうの言ってたっけ

・・・まぁいいか

ん、あんな外見だったか?
微かな記憶を頼りに思い出す。
顔覚えるのホント苦手だ、こっちの人みんな同じ顔に見えるし


変装してる?


ケイシュウは奴を追う。



茂みの中から男の悲鳴、追いついた時にはもう遅かった。





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シスナと俺はリジェットさんの自走者モービルで屋敷を後にする。

リジェット「今回はまんまと出し抜かれましたね」
シスナ「無傷で差し押さえて、こっち側のスパイを炙り出す予定だったのに」
















だが、政治家と商人のとって戦争は必要だ。
己が利益のために必要だ。


きっと年を取ったから、物事を俯瞰してみることが出来るようになったのかもしれない。


連合国軍に敗戦した桜花国は、まるで長い夢から醒めたような状態に見えた。
あの戦時下の異様な雰囲気を改めて思い出す。
意味がなかった。
その一言に集約される気がした。