オリジナル小説

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キロは噂のシスターに会ってみることにした。
彼女は忙しいはずなのにすぐに面会することができた。

ストレア「はじめまして、ストレア=アレクと申します。さっそく悩みをお伺いします。時間を無駄にしたくないので」
見た目は16歳ほどのショートヘヤーの子供であった。
変化後のシルさんと同じつくり笑顔を浮かべていた。



・・・・・・



キロはストレアに悩みの相談に来たひとの性格がなぜ変わってしまうのかについて尋ねた。
ストレア「・・・キロさん、あなたはひとの感情って必要な物であると思いますか?」
キロ「・・・・???」
ストレア「感情はいつだってひとの合理的な行動を妨げる。極論を言えば必要がないものですよ。私はそのことを相談者に説いて最大限効率的に行動してもらうようにアドバイスしています。ただそれだけです。」

キロ「・・・・なるほど」
キロはそれが悪いことだと思わなかった。むしろいいことだと思った。
そして、なんとなくキロは孤児院のマクセル先生を思い出した。
キロは彼女の理論に近い教育を今まで受けてきたのだからそれは当然だった。




使い魔「・・・・合理的に、最大限効率的に・・・妙ですね。聞けばあなたは1年先まで予約でいっぱいの相談者のはず、どうして私たちの突然の訪問に対応してくださるのです?しかも私たちはこの町に来たばかりのよそ者ですよ?」


キロ「・・・・??」


ストレア「頭のよい助手さんをお持ちで・・・そうですね」
ストレアはもう一度キロをじっくりと見つめた。




ストレア「正直に言いましょう。私は悪魔です。」




キロ「!?」
ストレア「ああ、警戒しないでください。敵意はありませんから」
使い魔「・・・」
ストレア「私は人の感情を根こそぎ食い尽くす悪魔です。食べられたひとは、喜怒哀楽すべての感情を失います。」



ストレア「私はもとは人間です。両親からひどい虐待を受けてこの修道院に保護されました。ちょうどそのころにある方から悪魔の能力を授かりました。私自身の喜怒哀楽の感情はすべて失われ、ひとの感情も食い尽くすことができるようになりました。」



能力を授かる・・・イルマさんもそいつから能力をもらったって言ってたな・・・



ストレア「数日前にその方が来られて、白い剣の所有者が来るから能力を奪われたくなければ、そいつを殺せと言って去っていかれました。あなた方のことですよね」


キロ「どうして、そんなに正直に話す?」


ストレア「あなたと実際に会ってみて確信しました。あなたは問答無用で私から能力を奪わない。そんな度胸がない。そしてこの場を設けたのは悪魔としてあなたに興味があったからですよ。確かにそれは合理的ではないし非効率なことかもしれません。」

使い魔「実際会ってみてどうでした?」

ストレア「優しい方だと思いました。失礼ながら、悪く言えばぬるく覚悟がない。」

使い魔「おお、人を見る目がありますね」
キロ(・・・ひどい)


ストレア「そして・・・くだらない感情で自分の心を縛っている。自分が苦しいはずなのにメンツやプライド頑としてを捨てようとしない・・・そんな人間に見えます。」