はたく

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・大海さん転校編




中学3年になる前ユズハ師匠がいなくなってしばらくして
私は両親の仕事の都合で転校することになった。


新しい学校のクラスは静かな目立たないクラスだった。まるで何かにおびえているような・・・

先生「村雨、また遅刻か」
風切「申し訳ありません。遅くまでゴロツキをしめていましたので」
先生「おお、そうか・・・」

背が高くて鋭い顔をした美人・・・ミニスカートで帯刀・・・


昼休み



大海(・・・よし・・・誰とお弁当を食べるか・・・これが重要・・・できればクラスの多数派のグループにさりげなく・・・)


・・・・村雨さん・・・お弁当持ってないんだろうか・・・


「へーあの中学から転校してきたんだ。」
大海「うん」
「あそこ、なんか壁にいっつも張り付いて何か変なことしている生徒がいるって有名だよね。」
大海(・・・孝一君、他校でも有名・・・)
大海「それ、私の友達・・別に・・・変なことしているわけじゃない・・・と思うよ」
「何それ、変なの」



体育の授業はバレーボールだった。
風切は強すぎるので体育の授業は見学していることが多いそうで、今日もそうだった。


バレー部の強力なスパイクがコートに打ち下ろされる。
誰もが拾えない位置のボールのはずだったが、
ふわりとレシーブが上がる・・・
「大海さんナイスレシーブ!!」


・・・真田流「先読み」
大海(ユズハ師匠に教えられて予測を立てて先に動いたら、案外うまくいったりするなぁ)

風切「・・・・」

大海(よし、ここはちょっと調子に乗ってスパイクでも打つか・・)
トスに合わせてジャンプしてみたものの・・・
大海(駄目だ、届かない・・・身体能力は別に強化されてないものね・・・)
ボール指先だけで触ってブロックを避けてネット際に落とした。

大海(真田流・・・受け流し?・・)


風切「・・・次、あたしいい?」
「え、風切さん?」

風切は上がったトスめがけて助走をつけた。本気の形相を察してかだれもブロックに入らない。
バシンとすごい音を立てて風切のスパイクが打ち下ろされた。

何事もなかったかのうようにふわりとレシーブが上がる。
風切「・・・・」
風切はそのままコートの外に出て行った。


「大海ちゃんすごい、あの風切さんの殺人スパイクをレシーブするなんて・・・」
「ぜひ、バレー部に入ってよ」
大海「・・・・私たちもう3年だし、ちょっと遠慮させてほしいかな」





真田流を習ってから、私は少し変わった。
以前のうじうじしてイジメられるような私はなりをひそめている。

孝一君はずっと壁の前にいた。でも私はまわりから変な目でみられたくなくて話しかけられなかった。何度も何度も助けてもらったのに
もっと早く声をかけていたら・・・もっと孝一君やユズハ師匠と一緒に居られたのかな?





大海「・・・風切さん・・・お弁当一緒に食べて・・・いいかな?」

「・・おい、あの子、風切さんに絡んでるぞ・・・」
「・・誰か教えてやれよ・・・」
クラス全体に緊張が走る。


風切「・・・・あたし、弁当持ってこなかったんだよね。」
大海「・・・じゃあ、わたしのお弁当を分けてあげる。」



風切「・・・いいよ、食べなくても、それにこの間も道を教えてもらったし」
大海「・・・やっぱり、あの時道場の道を聞いた女の子・・・」

風切「これ以上貸を作りたくない。」
大海「・・・気にしないで・・これは私の壊したい『壁』なんだから」


風切「・・・壁?」