『新 キロと13匹の悪魔』

『新 キロと13匹の悪魔』



・顔を変化させる悪魔



顔の容姿はひとそれそれで人を見分ける一番の材料である。
顔の容姿には優劣があり、特に優れている容姿は美人や男前などと称えられる。


交易都市ミルタール現在は収穫祭の真っ最中で街は大変にぎわっていた。
ひとひとひとであふれかえっていて目まいがしそうだった。
キロ(あそこは警備が手薄だな・・・もっと人員割いて人の流れを整理したほうがいいのに・・・ああ、こんな時でも祭りの警備のことを考えてしまう・・・)


キロ「アーシェ、中央の通りは避けて、街はずれで宿を取ろう。」
アーシェ「ええ、わかったわ」


キロはアーシェの手をつかんだ。
アーシェ「え」
アーシェを人込みから遠ざけるように誘導する。



キロ「ここまで来れば大丈夫だろう。」
アーシェ(・・・・)
キロ「どうした?」
アーシェ「・・・いいえ、何でもないわ」

アーシェの頬が赤みを帯びている走ったから息切れしているのだろうか・・・



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アーシェが宿を探す間、
街はずれで見知らぬ男に声をかけられる。
エンザ「・・・・もしかしてって思ったけど・・・キロ・・・キロ=エバンスか、久しぶりだな」
誰だ。こんなかっこいいホストっぽい男に知り合いはいないはず・・・

キロ「どちら様ですか。人違いじゃあ・・・」
エンザ「おま・・・冷たいなぁ、俺だよ。エンザ=フル―エルだよ。」


エンザ=フル―エルはキロと同じ孤児院出身の兄貴分であった。
お調子者のエンザ、昔のエンザはそばかすがあってこんなにキリッとした顔していなかったはずだけど・・・

キロ「えええ・・・・エンザ?・・・変わり過ぎて誰かかわらなかったよ。」
エンザ「はは、そうだろ、そうだろ」



エンザに連れられて、歓楽街で一番大きい店に入った。

綺麗なドレスを着飾った女性がエンザとキロの横に座って酌をした。
エンザは高い酒をガバガバ飲むのだった。

「エンザ〜また来たのね。今日も楽しんで行ってね。」

キロ「相変わらず、女好きだねぇ」

エンザ「お前が奥手過ぎるんだよ。今頃、カルデラの兵士として女っ気のない生活送って、唯一接点のある食堂の地味な娘なんかに報われない想いを抱いているんじゃないかと心配してたんだぜ。」

キロ「ぶぶ、ごほごほ」
寸分たがわず正解だった。


エンザ「・・・・んーなんかキロ、しばらく見ないうちに男らしくなったよな・・・」
キロ「・・・は、何言ってんだよ・・・」
エンザ「昔はもっとびくびくおどおどして自信なさげだったのに、こう落ち着いているというか・・・」
キロ(・・・)


年上の背の高い美人がエンザに耳打ちした。
こういう動作もエロスだな・・とキロはマジマジ見ていた。


エンザ「おい、あっちの新人の子がキロのこと気に入ったってよ。今晩相手してもらえよ。」
キロ「・・・・?」

キロはその意味に気づくまで時間がかかった。最近はあまりにもそういう事とかけ離れた生活をしていたせいだろうか。


キロ「なななな・・・・」
キロは顔が熱を帯びるのを感じた。
エンザ「まさかお前・・・初めてなんてことはないよな・・・」


キロ「・・・当ったり前だ・・・当たり前だ・・・」



・・・・いや、俺寿命1年だし・・・そんなことしたら・・・




「お隣、よろしいでしょうかお客様」
キロの横に綺麗な女性が腰かけた。

エンザ「ひゅー、お姉さん綺麗だねー」
彼女は少し幼めの整った顔立ちで三白眼、銀髪・・・


キロ「ぶー、アーシェ・・・どうしてここに・・・」

アーシェ「宿にいても暇だし・・・へーキロもこういう店にいくのねー」
別にやましいことをしているわけではないが、キロは冷や汗が止まらなかった。


エンザ「おいおい、キロ、この美人さんとどういう関係だよ。」
キロ「あー、えーと」

アーシェ「・・・妻です。」
キロ「ぶーーーー」




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エンザ「へーつまり、この子のために仕事をやめて駆け落ちねー。キロ・・・やるじゃん、見直したよ」

キロ「それはどうも」
アーシェ「・・・キロには感謝してもしきれないわ」

キロ(駆け落ち?細かいところが全然ちがっているけど総括するとそうなんだろうか・・・)

使い魔(・・・その解釈はあまりにアーシェ様視点過ぎる気がします・・・)