はたく
豆太の紳士講座
ともあれ、前回の行動は『器の小さい奴』の行動だった・・・
孝一が壁を殴っていると川道豆太がやってきた。
豆太「あの日から俺は考えた・・・大海さんは確かに可愛い・・・が、俺の好みとは180°違うという結論にたどり着いた・・・」
孝一「お・・・おう・・・」
(急に来て、語り出した・・・・)
豆太「お詫びに、俺のモテ情報を伝授してやるぜ・・・お前と大海さんのためにな」
孝一「俺と大海は・・・・ただの友達なんだが・・・」
豆太は孝一の肩を静かに叩いた・・・
豆太「そういうの・・・いらないから・・・」
孝一(マジ声・・・)
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道場からの帰り道・・・
孝一「・・・近くまで送っていくよ。」
大海「・・・うん」
近くまで送るよと言って、彼女と歩調を合わせて歩く・・・その際、必ず車道側を歩くことか・・・
孝一「・・・・」
大海「・・・・」
大海「・・・水上君・・・・今日はどうしたの?・・・いつもと様子が違う・・・」
孝一「・・・え、そうかな・・・」
大海「・・・いつもなら・・・そう・・・必ず壁際を歩くし・・・じーっと壁の方ばかり見て、品定めしてるのに・・・」
孝一(・・・え、俺って いつも そんななの・・・)
大海「・・・今日は・・・どうしたの?」
孝一「ほ・・・ほらあれだ・・・女の子が車道側を歩くのは危ないからな・・・男の俺がこっちを歩いて守ってやらないと・・・」
大海「え・・・」
大海「・・・・・きょ・・・恐縮です・・・・」
大海は恥ずかしそうに俯いた。
・・・・普段、愛想がない感じなのに・・・今日はどうしたんだろう・・・
大海(・・・これは・・・孝一君と・・・て・・・手を繋いでもいい・・・雰囲気・・・では、なかろうか?・・・)
大海さんは恐る恐る手を伸ばす・・・高鳴る鼓動・・・
孝一「どうした?大海」
大海「え・・・なんでもないよ・・・」
大海さんは、びっくりして手を引いてしまったのだった。
夕暮れ時、坂のてっぺんから見える紺やら燈の空はキレイだった。
孝一(おお、あの壁いい感じだな・・・帰りにチェックしとこ・・・)