はたく 【異世界蹂躙編】 vs ベルデア司教


はたく 【異世界蹂躙編】 vs ベルデア司教




さて・・・大海はどこにいるんだろ?




リヴァイアサンはふらふら飛行して孝一の元へやってきた。
もうほとんど魔力が残っていないらしく額の宝石がピコン、ピコンと点滅していた。

リヴァイアサン「せめて・・・あの少女の囚われている場所まで案内しよう・・・」


リヴァイアサンは孝一のお腹に巻き付き、首だけを孝一の頭の上に乗せた。



・・・なんかこの姿・・・モンスターになった気分・・・それもアンデット寄りの・・・




リヴァイアサン「どうかしたか?」
孝一「・・・別に・・」




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その頃、大海は教会聖堂の地下の牢屋に閉じ込められていた。魔法学校の大勢も一緒だった。

魔法先生『オーミー、無事だったのですね・・・心配しました。』

大海「・・・私は・・・多分・・・その子じゃないです・・・」

魔法先生『?』

大海「私の名前は・・・大海灯り・・です。」

魔法先生『?』

(オーミー・・・まだ、混乱しているのですね・・・)





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孝一は正教会の聖堂の扉の前までやってきた・・・

孝一「ふーー」
大きく息を吐く。ここにきて疲労感が押し寄せてきた。白い煙はもうほとんど立ち上っていない。
孝一(大海を助けるまで・・・気を抜くわけにはいかない・・・)



孝一は聖堂の扉をあける。
中は体育館ほどの大きな部屋になっていた。
月明りに照らされたステンドグラスが美しく煌く。


祭壇に豪勢な衣装に身を包んだ人物が立っていた。


ベルデア『・・・お前が・・・お前が報告にあった子供か・・・お前のせいでこの聖戦は失敗だ・・・この戦のために一体どれだけの時間とお金を投じたと思う・・・いや、わかるはずもない・・・それが・・・すべてすべて無駄無駄無駄無駄無駄になってしまった・・・』
異世界



孝一(・・・なんかめっちゃ怒ってるな・・・)



ベルデア『せめて・・・お前だけは・・・始末する・・・やれ』
ベルデアが手をふると隠れていた聖騎士たちは孝一を取り囲み、一斉に矢を放った。




聖なる水の壁 ウォーターウォール !!!




リヴァイアサンの魔法で矢の一部は防がれた。
リヴァイアサン「大丈夫か、アンデット」
孝一「・・・あぶな・・・今のはすべて防げなかった・・・ありがと」


孝一はまだ心臓がバクバクいっている・・・



リヴァイアサン「・・・だが、今の魔法で最後だ・・・もう魔力が残っていない・・・」
孝一「・・・ええ」
リヴァイアサン「・・・次同じ攻撃が来たら・・・アウトだ・・・」
孝一「・・・ええ」



ベルデア『・・・アンデット?・・・お前・・・アンデットなのか・・・ははは・・・外見からそうではないかと見抜いていたぞ・・・』

リヴァイアサン同時通訳中・・・
孝一「いや、俺はアンデットじゃないし」



ベルデア『・・・・ふふはははははははははははは・・・アンデットが天敵である正教会に盾突くなど・・・笑止・・・やれ!!!』

騎士団の後ろの牧師ような一団が呪文を唱え始める・・・
彼らのメイスから光が放たれ孝一が照らされる。




死者を消滅させる光 ホーリービーム!!!




孝一「・・・」
孝一はなんともなかった・・・

ベルデア『・・・馬鹿な・・・あの攻撃を防ぐほどのアンデットだと・・・』


孝一は間髪入れず、ベルデア司祭に飛びかかった。
一番偉そうな奴に接近しておけば・・・少なくとも矢は打ち辛いはずだ・・・



ベルデア『ひ・・・』
ベルデアは懐から小瓶を取り出して中の液体を孝一に振りかける・・・孝一に液がかかる・・・
酸?・・・いや・・・なんともないな・・・



平気そうな孝一を見てベルデアは青い顔で狼狽える
ベルデア『・・・ば・・・馬鹿な・・・正教会で最上級の聖水でも効果がない・・・だと?・・・それほどに高位のアンデットだというのか・・・』


リヴァイアサン同時通訳中・・・
孝一(どうして・・・俺がアンデットではない・・・という発想がないんだろう・・・)



孝一は隙をついてベルデアに『はたく』を打ち込んだ・・・



ベルデア『・・・』
ベルデアは平気そうであった・・・
孝一(・・・ヤバい・・・失敗だ・・・)
ここにきて集中力が散逸になっていることに気づく・・・



ベルデア『・・・うぐ・・・ぐあああああ』



ベルデアが急に苦しみだす・・・
ベルデアは慌てて衣装を脱ぎだす・・・
顔の肉がどろりと落ちてグロテスクな容貌に変化していく・・・


この姿・・・まるで・・・ゾンビのような・・・
そうか・・・聖水で濡れた手でこの人に触れたから・・・



ということは・・・この人こそ・・・アンデット?・・・・




『・・・ベルデア・・・様?』
『ベルデア様が・・・アンデットだったなんて・・・』

『そういえば思い当たる節がたくさんある・・・』
『教会に『アンデット避けのまじない』をした騎士団員が破門になったり、ベルデア様に間違えてホリービーム撃ってしまった牧師が破門されたり・・・着替えを覗いた団員が追放されたり・・・』



ベルデア『わが正体が・・・バレたからには・・・ここまでか・・・』
よろめきながら、教会の窓を突き破り、ベルデアは逃げて行った・・・




残った団員も散り散りに逃げていく・・・





誰もいなくなった聖堂で孝一は膝をつく・・・もう疲労困憊だ・・・
リヴァイアサン「辛勝と言ったところか・・・」

気が付くと、リヴァイアサンは召喚時間が切れたのか消えてしまっていた。