はたく 【未来タイムスリップ編】大海さんとデート

はたく 【未来タイムスリップ編】大海さんとデート





今日も壁を殴りながら思う。
一体いつになったら・・・壁を破壊することができるんだろうか。
『未来の自分』はちゃんと壁を破壊することができているんだろうか・・・





大海「・・・今度一緒に・・・映画に行かない?」


孝一「?」
唐突な誘いに戸惑う孝一



大海「・・・えーっとそれは・・・そう・・・真田流の修行の一環で・・・」
孝一「・・・よし、行こう」


大海(ああ・・・ごめんなさいユズハ師匠・・・真田流を・・・言い訳に使ってしまって・・・)





前日、夜
ニュースで明日見に行く予定の映画のCMが流れていた。
大ヒット御礼、カップルに大人気



カップルに大人気?



孝一は家の廊下を行ったり来たりしながら考える。

これは修行にかこつけたデートだったりするんだろうか?
いやいや、考えすぎだ。自意識過剰だ。

大海「・・・え、別にそんなつもりないけど?」

そんなセリフ言われたらキツい。



母(何をしているのかしら?)



母は落ち着かない息子の様子を訝し気に見ていた。




最寄り駅で待ち合わせ

大海「お待たせ」
大海はとても気合いの入ったカッコをしていた。

大海(いつものジャージ姿だったらどうしようって思ってたけど、おお、孝一君、ふつうだ。)


孝一「・・・」
大海「・・・」



孝一「・・・行くか」
大海「うん」


孝一(なんか気恥ずかしいな・・・)





電車に乗って都会まで、
駅を降りるといつも見ない高層ビルが乱立していた。



壁、壁、壁・・・そこら中が孝一の殴りたい好みの壁だらけだった。
これが・・・都会か・・・都会はすごいな・・・


大海(・・・孝一君の眼が空ろになってる。)

大海「・・・大丈夫?」
孝一「すまん。ちょっと・・・壁に酔った。」

大海(え?なんだって?)



たくさんの人、人、人
大海に手を引かれて、なんとか映画館の座席に座る。


大海「・・・楽しみだね」

今日の大海はひときわ美人に見えた。


『未来の自分』はこんな風に女性と付き合って結婚とかしたりもするんだろうか・・・
なんだかそっちは・・・『壁を破壊する』より実感が湧かないな・・・


映画が始まる・・・



気が付くと・・・



孝一は誰もいない映画館に一人で座っていた。













映画デート



$$$









母「孝一、どこへ行くの?」

孝一はいつものジャージ姿だった。十中八九 壁殴りに行くんだろうけど・・・

孝一「大海と映画に・・・」



・・・・ん?今なんて言った?



母「そのかっこで行くの?」

孝一「・・・真田流の修行の一環だって・・・大海が・・・」

母「・・・・」

孝一「・・・・」