はたく 自分のことをお父さんと呼ぶ少女


はたく 自分のことをお父さんと呼ぶ少女




映画館・・・ひとりで座る孝一・・・
あれ?・・・大海も・・・誰もいない・・・



映画館の天井から青空が見えた。とても開放的な映画館だな。
吹き抜けというよりは天井を破壊された映画館という方が正しい。あたりに大小の瓦礫が散乱していた。


異世界召喚?
いや、オーミーいないし、ここは壊れている以外は元の映画館だ・・・



外に出る。
ビルやら、建物やらが無造作に壊されて、瓦礫の山になっていた。
しかも、ここは都会のど真ん中のはずなのに誰も歩いていなかった・・・






なんだこれは・・・






とはいえ、慌ててもいなかった・・・最近は何が起こっても動じなくなっている自分がいるな・・・いいことなのか悪いことなのかわからんけど

そうだ、こういうときこそプラスに考えよう。誰もいないということは都会の壁を殴っても誰にも怒られないということだ。




・・・この服じゃ動きづらいな・・・




デパートだった場所、スポーツ用品店でいつものジャージを見つける。
孝一「・・・・」
一応財布から代金を置いて、ジャージに着替える。




孝一「よし」




$$$




ひとしきり壁を殴った。何回かいい感じに振動したし、今日は調子がいいな。
さらに言うなら、都会の壁は重厚感があって良いすごく良い。





瓦礫を踏む音がした。




「おとうさん・・・」




子供?女の子か・・・どうしてこんな場所に

彼女はこちらに駆け寄って来て、孝一の膝に抱き付く。
「おとうさん、おとうさん」




お父さん?




迷子か・・・その言い方だと俺がこの少女のお父さんみたいにも聞こえなくもないな

孝一は屈んで、少女の頭をなでる。
ずいぶん馴れ馴れしいというか距離感が近いな・・・
駄目だぞ、初対面の人にあんまりそんなことしちゃ・・・



孝一「・・・君のお父さんはどこにいるのかわかるか?」
「?」


少女は、きょとんとしている。この子よく見ると大海にそっくりだな・・・
まさか親戚だろうか・・・


孝一「よし、一緒にお父さんを探しに行こうな・・・」
少女「?」




少女「・・・お父さんは・・・あなたでしょ?」




ん?今なんて言った?