ウツロ エレノールさんについて


ウツロ エレノールさんについて




行商人の件で
エレノールさんの機嫌をやや損ねたことはウツロをひどく気落ちさせた。




支部の街、酒場にて

同僚「よお、久々に会ったけど、相変わらず沈んでんなぁ」
ウツロ「ああ、ちょっと気落ちすることがあってな・・・」


同僚「そういえば、この間さ、馬車持ちの行商人と街娘が人目もはばからずイチャイチャしてたんだが・・・その馬車がさ魔法協会の『おとり用』の馬車そっくりで笑っちまったぜ。」



ほほう・・・そいつには、心当たりがあるかもな・・・



ウツロ(今度会ったら、馬車の装飾を風切りで切り刻んでやる・・・)
ウツロはぼそりとつぶやく。




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なんとかエレノールさんに誠意を伝える方法はないものか・・・顔も声も知らないけど


本部所属の誰かに頼んでみるとか・・・
ミラは本部所属だったか・・・



最近ミラは魔法の書(メール)の使い方を覚えたらしく。
ちょくちょくメッセージを寄こす。


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ミラ:ウツロ先輩へ 最近制服の胸が苦しいです。どうすればいいでしょうか。
ウツロ:サイズの大きい制服に替えてもらえよ
ミラ: 胸 が 苦 し い
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どうしろと?



しかし、つい最近

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ウツロ:あんまり私的な文書送るな、注意されるぞ
ミラ:むー(-.-)
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などと言った反面、頼み辛いな・・・




エレノールさんには会ったことがない。
普通担当になるひとには一度は顔合わせするものだが、色々偶然が重なって今日まで会っていない。
もしかしたら本部の事務のおばちゃんかもしれないし、ずっと上役の方かもしれない。
今になってみると真実を知るのが少し怖い気もした。

しかし、彼女は文章は丁寧だし、自分のことを気遣ってくれる、以前の上司とは比べるのも愚かな女神のようなヒトなんだ。




朝方、
誰かがウツロの部屋のドアをノックするのが聞こえた。
寝ぼけまなこで応対する。魔法協会の制服に身を包んだ彼女はとても上品な立ち居振る舞いで自己紹介をする・・・


「初めまして・・・私はエレノールと申します・・・ふふ」


エレノール・・・さ・・・
顔が良く見えない・・・あれ・・・これって・・・




夢だった・・・




夢か・・・あと少しで顔が見れたのにな・・・
ウツロは顔を洗って、気を引き締める。


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エレノール:昨日は少し言いすぎました。本日も一緒に頑張りましょう。(^-^)
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ミラ:ウツロ先輩へ 
今日は久しぶりに『闇』の目がでてしまいました。

明日は気持ちを切り替えて頑張ろうと思います。
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おい、『闇』はヤバいだろ・・・一行目と三行目の間に何があったんだよ、切り替えていいのかよ




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ミラ:ウツロンウツロンウツロンウツロンウツロンウツロンウツロンウツロンウツロン
ウツロロロロロロロロロン
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怖いからやめろー














下宿のベットで仰向けになりながら考える。
エレノールさんに会う機会は正直いくらでもあった。本部に行く機会だって何度かあったし



ああ、でも真実を知るのが怖い。



本部の事務のただのおばちゃんかもしれないし・・・いや美人、エレノールさんは絶対美人、そのはずだ。








同僚「エレノールさんの機嫌を損ねた?・・・なんでそんなことで落ち込んでいるんだよ。声も顔も知らないんだろ?」



ウツロは担当のエレノールさんに会ったことがない。声も名前も知らない。
しかし、彼女は文章は丁寧だし、自分のことを気遣ってくれる、以前の上司とは比べるのも愚かな女神のようなヒトなんだ。



同僚(・・・こいつ大丈夫か?・・・)
同僚はウツロのことが本気で心配になった・・・