ウツロ 盗賊討伐任務にて

ウツロ 盗賊討伐任務にて



何度も見る夢・・・
傷を受けた剣神ガルフェンと対峙している。
余裕しゃくしゃくな顔であった。



「なるほど、これが前に話していた『かゆみ風切り』ですか」




それ・・・普通の風切り・・・なんですけど


ウツロは目を覚ます。
ああ、また、この夢か・・・




ウツロは考え事をしながら今日の任務の指定場所まで移動する。















魔力も少ないのに
工夫で頑張っていると言われるのが嫌いだ。

工夫で何とかなるなんて思いたくない。
魔力はあればあるだけいい。


剣神ガルフェンはこう言った。


いい剣士の条件は何か?


それは魔力が多いことでもない、腕力があることでも、いい装備を持っていることでもない。
まして、工夫が優れていることでもない。


では、その条件は何か?


それは『剣士である』という意識を持っていることらしい。



・・・意味が全く分からない。















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魔法協会剣士部隊『シェルタス隊』

主に街道の警護と盗賊討伐を任とする部隊である。新設されて日が浅い。剣士比率が高いので日ごろ魔法使いに見下されがちな剣士でも肩身が狭くない素晴らしい隊らしい(魔法協会剣士界隈談)。


シェルタス「今回の任務は盗賊団『バルバトス』の討伐です。」


シェルタスはウツロと同期の剣士である。一緒に剣神ガルフェンの研修も受けた。剣に対する真摯な取り組みと豊富な魔力・・・同期の中でも頭ひとつ抜けて優秀だったことを記憶している。そんな彼女だが最終日のガルフェンの『戯れ』に対してはあっさり気絶してしまった。自分とガルフェンとの実力差がよくよく理解できているためだろうとガルフェンがフォローしていたような気もする。