ウツロ 盗賊団バルバトス


盗賊団バルバトス




vs盗賊団




本日の任務は魔法協会剣士部隊『シェルタス隊』のヘルプに入って、『バルバトス盗賊団』を討伐することだった。

シェルタス隊は剣士中心の隊だから日ごろ魔法使いの日陰になりがちな剣士でも肩身が狭くないって評判らしいが・・・
活気あふれるシェルタス隊・・・内輪でわいわい盛り上がるシェルタス隊・・・


肩身狭いな・・・



シェルタス「さて・・・部隊の配置ですが・・・」




率先して前衛配置を志願する隊員たち・・・なんという意識の高い隊だろう・・・


前に参加した隊は・・・みんな下を向いて手を挙げず、結局くじ引きになったというのに・・・というかそんな魔法学校初等部みたいなノリで良かったんだろうか前の部隊




シェルタス「・・・だいたい決まりましたね・・・」




シェルタスは周りを見渡す・・・
はっとウツロの存在に気づく・・・
ああ、いまちょっと存在感がウツロになってたかな・・・ウツロだけに・・・


シェルタス「では・・・・・・・ウツロさん?は・・・ここの余った配置の・・・おほん・・・ではなく重要なサポートポジションの・・・『後方側面』をお願いします。」



後方側面・・・前衛で敵と戦うわけでも後方で支援するわけでもない配置
余った配置なんだろう?・・・正直いてもいなくても変わらないっていうことなんだろうな・・・
ちくしょう・・・なんで俺呼ばれたんだろう・・・



俺はちゃんと社会に必要ロされているはずだ・・・
ちゃんとエレノールさんに

『ウツロさんの支援が必要です(^-^)』

って頼まれたんだから・・・
最近・・・エレノールさんの顔文字一種類しか使わないな・・・って思ってたりするけど・・・
メッセージがめんどうになっちゃったんじゃ・・・なんて思っていませんとも・・・





$$$




でもまあ考えようによっては一番仕事をサボれる配置とも言えるな・・


「シェルタス隊ファイト!!!」


シェルタスを先頭に10名ほどの部隊が盗賊団のアジトに突入するべく移動する。
ああ、この体育会系のノリについていけない・・・

ひとりの隊員が息を切らしながら追いかける。ずいぶん背が低くぽっちゃりしているな・・・

「ふっふっふっ」


ウツロは彼の横あたりをついていく。
ああ、先頭集団が遠い・・・
なんだろうこれ・・・剣士研修のランニングで・・・最後尾を走る感じに似てる・・・



カサ・・カサ・・



小さな音がした・・・誰かが森を抜けてこちらへ向かってくる音・・・ウツロは立ち止まる。




「良く気付いたな」


身長2mはある大男がひとり・・・黒い皮の装備に身を包みゴーグルをかけて・・・大きな剣を携えている・・・

「・・・俺はバルバトス盗賊団のリーダーバルバトスだ」




リーダー来ちゃった・・・なんでこっちに来るかな・・・











「俺がお前らの部隊を背後から挟み撃ちにするのさ」
俺頭いいだろ?みたいなドヤ顔を向けてくるバルバトス・・・
それって、もっと戦争みたいな多人数の時に使う手でない?

完全に悪手だ・・・完全に悪手だ・・・



「ウツロさん俺が食い止めますから、早く逃げて」



おおやる気十分だな・・・若いって素晴らしい・・・ここはサポートに徹して、後輩に花を持たせてやるかな・・・


大仰な盾を構えるぽっちゃり隊員、バルバトスは不敵ににたりと笑う。



バルバトスが遠くから剣を振る。
ウツロはぽっちゃり隊員を蹴り飛ばす。


盾は真っ二つに割れていた。
蹴り飛ばしてなかったら・・・ぽっちゃりごと真っ二つだった・・・




『風切り』か・・・魔法出力高め、有効斬撃範囲広そうで羨ましいな・・・




ウツロ「・・・いいから、先行ってこのことを報告してきてくれ。」



「・・・ウツロさん、すんません、あなたの犠牲は無駄にはしませんから!!」
泣きながら走っていく彼・・・

犠牲になる気はないよ・・・





前に進んで避けた?






ウツロはため息をつく・・・
剣に魔力を纏わせ・・・2回剣を振る。


バルバトス(なんだ?『風切り』か?・・・そんなもん剣でガードすれば・・・)



剣のガードをすり抜けて・・・魔力の剣閃が自分の体を走る。


今何をした?


かゆみ風切り・・・かな



全然ピンピンしてるな・・・やっぱり斬撃が軽い・・・












ウツロ(風切りの発動時間は一瞬、攻撃有効範囲も狭い・・・風切りは一度剣を鞘に納めて放つことが多い。魔力の流れをただ見せして撃つとか・・・ここが攻撃範囲ですよって宣伝するのと同じだからな・・・)



シェルタスが遅ればせながらウツロに話しかける。
シェルタス「ウツロ君、久しぶりね・・・来てくれて有難う・・・」
黒い綺麗な長い髪、高い背の女性・・・シェルタス=マリノルスはウツロの同期の剣士だった。真面目手ひたむきで真摯、同期の中でも頭ひとつ抜けている彼女はすでに自分の部隊を持つまでに出世したらしい。

ウツロ「・・・ああ、久しぶり・・・」
シェルタス「相変わらず、沈んでるね。」
・・・あれ・・・今日は通常テンションなんだけれど・・・


シェルタス「ウツロ君が来てくれて、実はホッとしてるんだ。ウツロ君がいると不思議と仕事がうまくいくことが多いから・・・」
・・・ヒトを魔よけの置物かラッキーアイテムみたいに言うな