獣人盗賊団討伐の終わりに


獣人盗賊団討伐の終わりに





神様っているのだろうか・・・






同期の剣士ケルンは夜中にこっそりと外へ向かうウツロに声をかける。
ケルン「おい、ウツロ、どこに行くんだ?」



ウツロ「!」



ウツロ「・・・いや・・・トイレはどこかなと思って」
ケルン「奥に行ったところを右だ。」



ウツロ「・・・」
ケルン「・・・」



ケルン「ウツロ・・・くれぐれも単独行動はするなよ?・・・お前は単独行動の常習犯だからな・・・」
ウツロ「わかってるって」




ケルン「・・・ふー奴は呑気なものだ」
ケルンは精神的に弱っていた・・・
上手くいかない仕事、ズルズルと先延ばしになって全く解決の見込みのない仕事、魔法協会にもこの街の人にも迷惑が掛かってそれが日に日に増していく仕事・・・駄目だ駄目だ駄目だ。
誰もが自分たちを非難して批判しているように感じた・・・自分でさえ今の自己を肯定できない・・・連日連夜警備を繰り返し・・・体力的にも精神的にも限界に近かった・・・



せめて・・・獣人盗賊団の団員を1名でも捕縛できれば・・・状況が変わるかもしれない。



正直、もう嫌になりかけていた。
奇跡でも何でも起こらないものだろうか・・・
誰でもいい、誰か何とかしてくれ・・・

・・
・・・
ケルン「・・・おっと・・・寝かけていたか・・・持ち場に戻らねば・・・」





ケルンが持ち場に戻ろうとすると周囲がざわついていることに気づく。





「獣人盗賊団の団員を1名確保したらしい」
「おお、すごいな」
「どこの部隊がやったんだ?」
「さぁ?」





そこから状況は大きく動いた。





魔眼のリグレットの魔眼による幻術と言葉攻めで獣人はアジトの場所を吐露、
迅速にアジトへの奇襲が結構され、獣人盗賊団の捕縛はあっという間に片付いた。


「・・・ウツロ?君の持ち場は・・・後方側面(特に居ても居なくても良い配置)かな?・・・」
ウツロ「へーい」
またそのポジションか・・・






$$$






だいたいの仕事が片付き始めた頃、
マズール隊の幹部たちは責任問題などで 言い合いをしているらしい。
あの人たちは口喧嘩するのが好きなんだろうか・・・



昼食、
「ここいいか?」
ケルンとウツロは一緒に向かい合って食べる。



ケルン「なぁ・・・ウツロ・・・神様っているのだろうか・・・」



ウツロ「・・・さぁ?」
神?・・・こいつ頭がおかしくなったんじゃないだろうか・・・



はー、臨時部隊の保存食はとても不味い。
ウツロは北支部の街に帰れる日が早く来るように祈ることにした。









ケルン「単独行動してないだろうな?」

「何のことだかな?」