獣人討伐は続く・・・
ウツロはとりあえず夜間警邏を割り当てられた・・・
マズ―ル隊とその他合同部隊は臨時の詰所に寝泊りしているようだった・・・
みんなウツロ以上に疲れた顔をしていた・・・ここ1ヵ月の激務で疲労もピークに達しているのだろう・・・
「やあ、ウツロ・・・久しぶりだね・・・」
同期の剣士ケルンに話しかけられた・・・
いつもは爽やかイケメンの彼も・・・ウツロみたいな顔になっていた・・・
まずい・・・これはまずい・・・
言われたことを忠実にこなしていれば、いつか誰かが何とかしてくれるだろう・・・
いつもの普遍的行動原理が今回は通じないかもしれない。
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『物の価値は場所によって大きく変わる』
今の現状に至る理由がこの言葉に凝縮されている気がする。
つまり、このクラスティア王国において 獣人は珍しいのだ・・・
獣人は西の 獣人帝国 近辺に多く住んでおり、この辺りではめったに見かけない。
加えて、獣人帝国の『獣人騎兵隊』は一騎当千の最強軍隊などと恐れられているため 獣人=脅威 というイメージが先行する。必要以上にビビるから 部隊は多人数で編成しなければならず、多人数になればなるほど 獣人の 視力、嗅覚、聴覚 察知されやすくなって逃げられる。
こういうタイプの敵に有効な戦術は・・・
夜中・・・ウツロはけだるそうに 街の外の警邏にあたる・・・
(・・・弱そうな奴が単独行動してる・・・)
離れた木の陰から様子をうかがう。
(・・・どうする?・・・魔法協会の奴ら・・・どんどん数が増えているからな・・・浮いた駒は狩っていかないと・・・仲間を呼ぶか?)
ウツロ「・・・」
(・・・あんな弱そうな奴・・・俺一人で十分だ・・・)
ざわざわと夜風が吹いて木々がざわめく・・・
ウツロはふーとため息をつく
ウツロ(よし・・・釣れた・・・)
ここにいる技術の高い魔法使いや剣士ならば遅れをとらないと思うんだけれど・・・推測が多く確証がないから・・・説明してもわかってもらえないだろうな・・・
どうせ ここらで盗賊している輩なぞ 獣人の中でも低レベルなチンピラだろうに(断言)