はたく


はたく



クリスマス イヴ の壁殴り



12月23日・・・
真田流の稽古からの帰り



そわそわする大海・・・



大海「明日はクリスマスイブだよね・・・予定空いてる?・・・」




予定・・・予定・・・




孝一「壁殴りかな・・・」



大海(・・・うん 知ってた)





大海「・・・どこで・・・殴るの?」
孝一「・・・駅前の百貨店あたりかな?」


ええ、あそこはカップルの巣窟なんだけど・・・大丈夫だろうか・・・




$$$



俺は大学生だ・・・
世間では今日はクリスマスイヴとかいう日らしい
今日はクリスマスなのにバイトだよ〜って言い訳を使いたかったのに・・・
店長の粋な計らいで早上がりできることになってしまった・・・
ほら、君もクリスマスだから早く彼女のところに行ってあげなさい・・・だと



余計な気づかいだよ!!



それ、嘘だから、見栄はっただけだから・・・ちくしょう、彼女がいるのに今日バイトなんぞいれるかっての!!


百貨店の通り・・・このカップルの巣窟を通らなければ・・・駅にたどり着けない・・・どうする・・・夕方まで郊外でぶらぶら時間潰すか?・・・いや、こんな雪がちらつく時にそれっていっそう惨めじゃね?・・・どうする・・・どうすれば・・・いいんだよッ




ズン




お腹に強い衝撃が走る・・・
なんだ?
ちらつく雪の中・・・俺は出会ってしまった・・・



こんな雪の中・・・コートも手袋も付けず・・・ただひたすらに壁を殴る存在に・・・
おいおい、周りのカップルが ドン引き して距離をとってるじゃねーかよ・・・



訳がわからなかった・・・だが・・・自然と涙が・・・零れ落ちて・・・止まらない・・・



「ひっく・・・ひっく・・・ありがとう・・・少年・・・なんだか勇気をもらった気がするよ。」



孝一の周りに男たちのヒトだかりができる。

「ありがとう」
「ありがとう」
豆太「ありがとう」
「ありがとう」



孝一(・・・あれ・・・なんだこの人たち・・・)



大海(なんだこれ・・・)
心配で遠くで見ていた大海も困惑していた。









中学3年


「ごめん、今は『はたく』のこと以外考えられないんだ・・・」


これが一番ありあえる気がする・・・


ばっちり想像できてしまう・・・孝一君





月江君恵はきつめ美人だった。


周りに対して少々トゲトゲしい態度をとることが多い。
精一杯虚勢を張らないと生きづらいのだろう。


好きなヒトとかガキじゃあるまいし・・・くだらない


翔平・・・馬鹿にしないで聞いてほしい・・・実は私気になるヒトがいるんだ・・・


イニシャルが・・・M


豆太(まめた)俺の事かよ・・・みんな悪いな・・・はは


(こんなひとクラスにいたっけ?)