手の甲の魔力数値
【過去編】
ラグベール城崩壊直後
良く晴れた綺麗な空の日だった・・・
トウカゲちゃんとの別れ日。・・・ああ、ついでにジレンも
トウカゲ「どうしても・・・クラスティアに来る気はないんだね?」
ウツロ「・・・ああ」
ジレン「師匠として・・・お前の活躍を願ってるぞ」
・・・弟子になったつもりはないんだが・・・あれは取引だし
トウカゲ「・・・『やっぱりクラスティアに行きたい』って思ったらいつでも言うんだよ・・・手のひら返しOKだからね・・・」
ひたすらに優しいトウカゲちゃん・・・
どうして俺なんかにこんなに良くしてくれるか・・・全く理由がわからない。
「!」
トウカゲ「ああ・・・そうだ。」
トウカゲはウツロの手を握る。手が黒い光に包まれて少しくすぐったい。
見ると手の甲の魔力刻印が消えている・・・
「基本的に特殊な能力がない限り、その人の魔力数値はわからないんだよ。これでウツロちゃんは魔力5であることをすぐに誰かに悟られることはないよ・・・ふふ・・・もしかしたらすごく強い魔法使いに見えるかもね・・・」
ジレン「それはないんじゃないですかね・・・」
・・・ジレンうっさい
何もなくなった手の甲をマジマジと見る・・・
それって・・・ちょっと立派な服を着た貧乏人のような感じかな・・・
だが、魔力5の本質は何も変わらないな・・・
トウカゲ「そう・・・たとえ『へっぽこ』でも・・・その事実は悟られないんだよ。」
『へっぽこ』ってひどい・・・
その日の旅たちの青空はとても綺麗で今でもはっきり思い出せる・・・
その後の顛末は悲惨なモノだったな・・・今になって考えると・・・両親の言うことを素直に聞かなかった反抗期の子供のような選択・・・つまりは『黒歴史』という奴だった。