ウツロ 村娘の人生相談

村娘の人生相談




憧れの職業




辺境の村・・・
この地方は曇りが多く陰鬱な空の日が続く・・・
村人もその空と同様どこか陰鬱で暗かった。


「あの空き家の庭で・・・ボンヤリしている男・・・」
「ああ・・・あれは魔法協会の剣士だな」
「あの眠たそうな顔・・・仕事をやる気があるのかねぇ・・・」


今この村には、魔法協会の剣士 が数日間滞在しているらしい。
みんなひそひそと噂して遠巻きに見ていた。





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ウツロは今日も空き家の庭に座っている・・・


ひとりの少女が・・・遠巻きにこちらをチラチラ見ている。
徐々に近づいてきて・・・ウツロの少し離れた隣に座る・・・



ウツロ「・・・」
少女「・・・」



少女「何をしてるんですか?」
ウツロ「・・・仕事だよ」



少女「ちょっと失礼ですけど・・・ここでぼーっとしているのが・・・魔法協会の仕事なんですか」
ウツロ「魔獣が罠にかかるのを待ってるんだよ・・・」
『今回は』、『本当に』 サボってるわけじゃない



少女「お母さんは・・・魔法協会は村からお金を巻き上げる悪い組織だって言っていました・・・」
ウツロ「・・・」



まぁある意味ではそうなんだが・・・



少女「でも、私、魔法にも憧れてますし、アクアローナ様みたいになりたいとも思うんです・・・」



少女の話は続く。
彼女は12歳でこれからの人生について真剣に考えているらしい。
半年後の魔法学校の選抜試験も考えているとのこと・・・




どうすればいいのか・・・わからなくて・・・




少女「・・・魔法協会で働くのって・・・どうなんですか?」




ウツロ「・・・」
少女「・・・」





ウツロ「あまりお勧めしない・・・とだけ言っておく」
少女「えー」



少女「そこはすごく楽しいとか充実しているとか・・・言って欲しかったな・・・」
ウツロ「・・・」




少女「「でも・・・その顔で『毎日充実してます』って言われても説得力ないかもです・・・」
なんだとぉ





・・・少女はため息をつく・・・





アクアローナ様の所属する きらびやかな英雄の組織・・・
お母さんが悪態をつく悪い組織・・・
どっちの魔法協会が本物なのか・・・わからないよ・・・






ガサガサ・・・






遠くで音がした・・・
お兄さんの目の色が変わる・・・



ウツロ「その話の続きはまた今度・・・今日は家に帰りな」



その目は・・・
なんだか真剣で逆らえなかった・・・






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翌日、

「野盗ゴブリン達退治されたってねぇ・・・」
「あの頼りなさそうな剣士ひとりで?・・・」
「信じられない・・・」
「まぁでもそのくらい働いてもらわなくっちゃ割に合わないよ・・・」



少女「・・・あのひとが・・・」


魔法協会・・・か・・・
むー・・・
少女は・・・もう一度 魔法協会に勤める案 について悩むことにした。





















お母さん・・・私 魔法協会で仕事がしたい


戸惑う母親だった。




ウツロ 村娘の人生相談






「あの・・・魔法協会の仕事ってどうですか?」






ある日、辺境の村で魔獣を待っていた際、
小さな女の子に尋ねられた。
エマと名乗ったその子はもう12歳で、そろそろ将来設計のことを考えたいらしい。



ウツロ「・・・うーん・・・別に・・・普通・・・」



エマ「普通ってなんですか・・・その返答・・・一番話が膨らまない最悪の返答だと思います。」
冷たい目で返答してくる彼女・・・ケーリーさんっぽい冷たさだな・・・



うーん、
『選別するにも母数が多いに越したことはない』
って人事部の通達にもあったし、とりあえず無難な感じで・・・



ウツロ「日々、人々を助けるという使命感をもって 充実した日々を送っております・・・」



エマ「・・・あ、そういうの いらないんで」
なんだとぉ・・・




そんな調子でいろいろ話す。









ウツロ「ああ・・・それから・・・君は・・・その年でこんなにも頭がいいから・・・どんな仕事でも上手くやっていけると思うぜ・・・」

エマ「それは・・・どうも」





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エマ「もっと現場目線のリアルな話が聞きたいです。」
この子若いのにしっかりしてるな・・・



よしこうなったら、今思っている正直な思いのたけをぶちまけるぞ・・・




「魔法協会に入るのは・・・絶対にやめた方がいい・・・」
俺は・・・普段思っている・・・色々をぶちまけた・・・
もう色々魔法協会のリアル内情からなんやらを包み隠さずさらけ出してみた・・・




エマは泣きそうになっている。
エマ「・・・もう・・・もういいです・・・聞きたくないです・・・お兄さん・・・転職した方が良くないですか?」
子供に心配されてる・・・





私はクラスティア王国の辺境の村の村娘だ。
自分の所の村を辺境なんていうのも自虐的だが・・・贔屓目で見てもここは辺境だもの・・・



私はもう12歳・・・そろそろ将来のことを考え始める時期だろう。



村の掲示板に張り付けられたポスターに目が留まる。
『魔法学校選抜試験の日程について』



魔法学校に入学して魔法協会に勤務する・・・夢のような人生プランだ・・・
ただし、両親や村の人からは反対されるだろう・・・
ここらの村では魔法協会の高い支払いに不満を持っているからだ。




数日後・・・







魔法協会の剣士か・・・






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村娘「あの・・・あなたは・・・ここで仕事をサボっているんですか?」



ウツロ「・・・」
村娘「・・・」



ウツロ「いや、サボってないから・・・」
魔獣が来るのを・・待ってるだけなんだが




村娘「サボっている人は・・・みんなそう言うんですよ」
ええ・・・





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村娘はウツロの横に座り込んでこっちを眺めている・・・





ウツロ「ほらほら・・・君みたいな子供にはわからないだろうけど・・・ほら、あっちで遊んでおいで」

村娘「・・・大人ぶって煙に巻こうとしても無駄です・・・私ももう子供じゃありませんし」

このガキ・・・



魔法学校に入学⇒魔法協会に入会してエリートコースの人生・・・



母「魔法学校なんて私は賛成できないね」



母からは反対された・・・
辺境の村ほど




村娘と将来の相談




SHIROBAKO
エマちゃん可愛い

仕事