記憶領域の優先順位
アクアローナ様の感情制御首飾りの摘出処置・・・
アクアローナは集中していた。
心や魂に複雑に絡み合った感情制御の魔法を慎重に取り外していく・・・
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ミレスの記憶領域はどんどん崩れていった。
今まで存在した地面がバラバラと崩れて・・・掴みきれない記憶が・・・堕ちていく・・・
ミレスの心の中の 現在のミレス と 子供ミレス が対応に追われる。
「まずい」
「?」
「不必要な記憶を整理して捨てていかないと・・・この場所がもたない・・・」
「それは大変だー」
「・・・」
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『ウツロお兄ちゃんの記憶』
「これは・・・」
「これはだいじー」
「・・・そうね・・・これは大切よ・・・捨てられないわ」
なんだか気恥ずかしい現在のミレス
『火の属性魔法の記憶』
私はたくさんの属性の魔法を持っているけれど・・・この魔法の記憶の1個1個が大きな容量を食っているのよね・・・どんどん捨てていかないと・・・
「火の魔法は捨てるの嫌」
「そうね・・・一番オーソドックスな魔法だし」
『氷の属性の魔法の記憶』
「これも・・・嫌」
「そうね・・・暑い日なんかには重宝するしね・・・」
「じゃあ・・・この『土の魔法の記憶』は捨てても良いでしょ?土なんてなんだかパッとしないしダサいし・・・」
「・・・」
「・・・」
「嫌ーーその魔法を覚えるのすごく苦労したんだよ?」
「ええ・・・そうね・・・あの頃の私は物覚えが悪かったから・・・」
「ああ・・・結局なにひとつ捨ててないじゃない・・・まずいわ・・・早くしないとここも崩れてしまう・・・」
『闇属性の魔法の記憶』
これは捨てた方が・・・
駄目・・・これを使った後すごくスッキリするし・・・
「品種統合って言葉知ってる?」
たくさんを浅くよりもひとつのことを効率的に生産して原価を下げる・・・それが収益を上げるコツよ
嫌だー
多属性ミレスが私のブランドなのー
そんなことを話しあっている内に・・・
ひっそりと『ウツロの記憶』と『多属性を切り替える記憶』が欠落してしまうのだった・・・
・・・しまった・・・