ウツロ 【行商人編】壁の向こうの壁


【行商人編】壁の向こうの壁




『人生 壁にぶち当たることばかりだ』というけれど・・・




風切りで枝を切ることができたウツロだったが
周囲の反応は寂しかった。


カルロ「それの何がすごいの?」


まぁここは行商団だから当たり前だけれども・・・
自分は小躍りするくらい嬉しかったんだよ・・・


乗り越えた壁の向こうには・・・綺麗な花畑が広がっているか
といえばそうではなく
さらにまた壁があったりする・・・




『風切りを当てるのは難しい』




威力自体は高い、高いんだが・・・
コンマ秒だけ発生する斬撃をいかに命中させるか・・・動いている的だと難しい。
さらに相手が風切りの性質を理解しているならばなおさら難しくなる。
前後に少し動くだけで簡単に回避できるし・・・



魔法が一般的でなかった頃は・・・

「なんだ、あいつあんな離れたところで剣を振って?」
ザシュ・・・
「斬られた・・・しまった魔法だったのか・・・」
となったらしいが・・・
時代が進むにつれて風切りを知る人や魔獣が増えてきて、

今では


「ああ、あれね・・・あの魔法ね」


と簡単に避けられて


「今時・・・『風切り』とか・・・ぷぷ」
という感じらしい。
時代の流れって恐ろしい・・・


さらに・・・さらに言うなら・・・
魔力が少ない自分は連射ができず、ミスも許されない・・・残酷、残酷だよ・・・



ああ、もう練習やめた方がいいんじゃないかな。
この程度でも・・・
転職するときに『自分は魔法もかじってます』と言える。
それで充分なのではないだろうか・・・


その当時は、心が折れかけていた・・・












おそらく・・・トウカゲちゃんあたりは・・・こう言うだろう・・・
「練習あるのみだよ」
練習・・・それって意味があるのか・・・

時間は有限だ・・・無駄な投資、無駄な時間の浪費・・・









『けふ カザキリ あてること出来にけり 希有なことなれば・・・』




などと古文書に書かれるほどに当て辛いらしい。
というかそんな昔からあったのか『風切り』・・・


骸骨恐怖症とかと戦いつつ
やっとの思いで
枝を切ることが出来たわけだが・・・



次は当たらないという問題が・・・なんだこれ・・・






※のちに知った話だが、魔法協会剣士もメインの魔法は魔法斬撃で
風切りはあくまでけん制用に使うのが一般的らしい。






まだまだ威力がカスみたいだった・・・




トウカゲ「練習あるのみだよ」




練習か・・・
何度か・・・風切りを撃つ・・・
魔力切れ・・・



そうだ俺魔力5じゃん・・・練習ができない・・・