しょげている理由・・・
ゴーレム討伐後話続き
今回のゴーレム討伐は大仕事だった、エレノールさんも久しぶりに褒めてくれたし、
しかし、俺の心は浮かなかった・・・
ミラが勝手な行動をしたので憤りを感じるとか・・・大人な理由ではなく・・・
あんなに苦労して覚えた『風切り』をミラが易々と使いこなしていたから・・・
原始的な魔法だもの・・・むしろ余裕か・・・
あの堅いゴーレムを真っ二つにする圧巻の風切り・・・憧れる・・・
ああ・・・
俺の長年の苦労って何なんだったんだろう
そう絶望してしまった。
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ケーリーは考える。
ミラの話を聞くにウツロさんが気落ちしている理由はミラの風切りのせいだろう・・・
才能眩しいミラにはいつも驚かされるばかりだし・・・
ウツロさんは自分のことを過小評価し過ぎなのような気がする。
まず、人数で割り算した魔獣の討伐数でいうと群を抜いているだろう・・・
「端数の少数魔獣で部隊を派遣するまでもないんだよな・・・どうしようか」という場合、フットワークの軽いウツロさんは大変に重宝すると聞いたことがあるし
馬などが通れない辺境へもすいすい行ってくれるそうだ・・・何処にでも湧く害虫のようだなウツロさん
広範囲に多種多様な魔獣を仕留めている。端数処理だからという事もあるだろうけれど・・・普通の部隊でもあれだけの種類を相手にするなんて珍しいぐらいだ。
さらに、この北支部周辺はラグベール王国の瘴気に当てられた凶暴な魔獣が出没することで有名だし、脇をしっかり処理してくれているから他の主力を分散せず仕事にあたれているという点は北支部にとって大きい。
そして、何より、
『ミラと一緒に仕事をしている』
仕事とは『ある一定の手順ルーチンを作成して進めていくもの』であり、『イレギュラーを嫌うもの』だと考えているが、それで言うところのミラにその考えに全く当てはまらない。何が出るかわからないミラスロットなど『イレギュラーそのもの』ではないか・・・いや、本当にすごい、ウツロさんすごい
さらに、これは余談だが、
『ミラの面倒を見ている』これも大きなファクターだ。魔法学校から彼女の世話をしてきた私が言うのだからその苦労たるや・・・まぁいいだろう
とまぁ・・・このケーリー=エクセルの採点ではウツロさんの評価は高いのだが・・・
ケーリー「・・・」
私の口から言うまでもないだろうな・・・
※ケーリーさんはまだウツロと話し辛い感じであった。
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後日、
『風』の目・・・ミス
『風』の目・・・ミス
ミラ「ウツロ先輩、風切りって・・・当て辛くないですか・・・」
ウツロ「・・・」
ミラ「・・・」
ウツロ「それだけ潤沢に魔力使って有効斬撃範囲広いのに甘えんな」
ミラの頬を引っ張るウツロ
ミラ「ウツロせんぱひ・・・痛いですってばぁ・・・」
風切りを当て辛いは誰もが通る道らしい・・・
ミラ「ウツロ先輩はやっぱりすごいナー」
ウツロ「・・・棒読みやめろ」
ミラ「そんなことないですよ」
その言葉に・・・
わりと本気で救われてしまっている自分は・・・
まだまだ修行が足りないと思った。
ミラとの仕事にて
ウツロは、気を取り直す。
いつまでもウジウジしてても仕方ない。今日も目の前の仕事に集中、集中
それに彼女の魔法『ミラスロット』・・・あれは敵味方問わず殺傷性の高い魔法が多いにもかかわらずコンビを組めているという事実、
いつか強くなって・・・
「ウツロ先輩、私たちはいいコンビですよ」
「まぁ・・・今日は上手くいったかな」