シンカ 知らない方がいい本当の事


知らない方がいい本当の事




一つ目の宝石・・・




改めて考える。
『嘘をついてはいけない』そう宝石を持つ男は言っていた。


「俺は怪しい者じゃないです・・・ただの子供です・・・」


それで目がつぶれたってことは・・・
それが嘘だと思っているってことなんだろうか・・・自分自身がか?・・・
はは・・・笑えないな



夜・・・
シンカはノワールを待たなかった。
彼は俺のにおいを辿って追跡できると言っていたし・・
何より、昨日は一杯食わされたみたいで悔しかったからだ。



道すがら物乞いのお婆さんに呼び止められる。



「おい、小僧、悪いことは言わん、ここから先は行かん方がええぞ・・・」
「・・・」



「お婆さん・・・俺は何に見える?」


「なんじゃ・・・ただの小僧にしか見えんが・・・」


「・・・そう」



無論、足を止める気はなかった・・・





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二度目の廃教会、
今日は堂々と正面から入る。



突然、現れた人物に黒いローブの人々は困惑する。


「誰だ、この子供は・・」
「昨日、死んだ子に似ている気がする」
「まさか・・・じゃあどうしてここに居るんだ?」


周りが騒然とする。



おほん・・・おほん・・・




「俺は・・・化け物だ・・・」




よし、今日は大丈夫
こう言ってしまうのもなんだか『痛い人みたい』で恥ずかしいな・・・



なぜだか・・・周りの反応は予想以上だった。
悲鳴をあげて、逃げ出す者、気絶する者・・・様々だ。



「さぁ死にたくなければ、その宝石をこちらに寄こして欲しい。」
ノワールさんはおそらく手加減しないと思うし)



異常に怯える宝石を持つ男・・・ただわめく・・・宝石にすがりつく・・・


あんたは嘘が嫌いみたいだけど・・・
俺は・・・嘘は悪いことだと思わないけどね・・・知らなくていいことも、この世には多い気がするし

そう・・・この言葉に・・・嘘はない



「嫌だ、嫌だ、この宝石は邪神様から授かった私の宝だ・・・」
怯えて情けなく這いずり回る・・・



シンカ「・・・そんなに俺の姿が怖いの?」
・・・まだ、何の力も使っていないんだが・・・




「・・・ッ」




「・・・そんなわけがなかろうが!!・・・お前のような小僧を恐れるなど!!」



・・・



しまっ・・・



・・・ああ・・・あああ・・・あああああああ・・・ぎゃああああああああ





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翌日、街の人々は噂をする。


「あの廃教会でまた死体が発見されたらしいよ・・・」
「恐怖に怯えた司教風の男の死体だそうだよ・・・」


・・・怖いねぇ