【魔法協会創設編】バラバラの意見
奴隷商人の馬車の中・・・
アルザスは次に向かう国の事を想像する。
魔法の国・・・クラスティア王国・・・
きっと素晴らしい国だ、そう思っていた・・・
それは単に・・・魔法という奇跡に対する子供みたいな憧れだった・・・
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クラスティア王国の状況はもう手遅れと言っていい状況だった。
北の森近くの砦は死守したものの既にラグベール王国に支配されている領土も多く
砦だけが 離れ小島 の状況、
そして、今現在も野放しになり 被害が出続けている魔獣被害・・・
もうこの国は・・・存続すら危うい・・・いや、手遅れかもしれないんだから・・・
サリア「ワシはラグベールの王都を攻め落としに行きたいぞ」
アルザス「私はクラスティア王国の各領地の魔獣討伐に向かいたい、困っている人達を見過ごせないよ」
アクア「私は・・・この砦の警護を続けるべきかと(その方が楽ですし)」
私達の意見はバラバラだった・・・
アクア「アルザス・・・クラスティア王国全土の魔獣討伐は・・・あなた一人では到底無理だわ・・・人手が足りなすぎるもの・・・」
サリア「ワシも同感じゃ・・・」
サリア「まぁワシは・・・元より・・・王族の支配する『国とかいう物』に毛ほどの興味もないしな・・・」
サリア・・・それは思ってても口に出すべきではないかと・・・
アクア「それに・・・サリアも・・・今はラグベール王都を攻撃すべきではないわ・・・」
サリア「はぁ?・・・なぜじゃ」
こちらの国が傾きかけている状況でラグベール王都を陥落なんてさせたら・・・
それこそただの破壊者ですよ?・・・魔獣とやっていることが変わらない・・・
サリア「・・・ワシはそれでもまったく構わんが?」
私達としては構うのですッ
アルザス「それでも!!・・・それでも私は助けに行きたい!!!」
アルザス「・・・アクアローナ・・・サリア・・・頼むよ」
アルザスはいつも・・・強情だった・・・
結局、私もサリアも・・・アルザスの意見に従うことになる・・・
「それでは妥協案を考えました。『近くの魔獣に襲われて、ラグベールに支配されている領地の救援に向かう』というのはどうでしょうか?」
サリア「・・・はぁ・・・チマチマやるのは、性に合わんのだがな」
アルザス「よし、早く行こう」
それからしばらくして私たちは『魔法協会』という組織を立ち上げる・・・
・自分たちで独自に動く必要があった。
・サリアがクラスティア王国名義で動くことをひどく嫌った。
・国王や教会と折り合いの悪い魔女や魔法使い達の協力を仰ぐため
・廃れたとはいえ昔から馴染みのある組織名だった
理由は色々あったのだが・・・『成り行きで』という言葉が一番しっくりくる気もする。
ともあれこれを機に『魔法協会という組織』はどんどん大きくなっていくのだった。
【魔法協会創設編】木の大魔法使いマクラーレン参戦
そして歯車は回り始める
のちの魔法協会の創設は多くの人に語れらる物語になった。
私が鋼鉄の魔女を打倒して仲間に引き入れたことこそが『大きな転機』だったなんて言われるけれど
きっとそれは間違っている。
どうして・・・故郷でもないこの国の事を・・・ここまで好いて・・・考えてくれるのかわからなかったけど・・・