【仮面王女編】先王の崩御
クラスティア国王アウリカルスが崩御して10年の時だ経つ。
彼は『腰抜け王』と裏でささやかれる王様だった・・・
クラスティア王国とラグベール王国の戦時下において
王は首都リムガントの防衛のみに兵力を集中させ
自分と家族の身だけを守ろうとした。
王妃を魔獣の襲撃で失った彼の心は完全に折れてしまった・・・それが事実だったのだ。
王女ミステリアは思い出す。
「私は・・・ひどい王だった・・・王であるのに・・・国民の皆を見捨てたのだ・・・」
晩年のおじい様はそのことをひどく悔いていた。
優しいおじい様・・・
私は・・・彼の無念を晴らしたいと・・・強く願う。
そのために彼女が目をつけたのは『魔法協会』だった。
戦時下、王国軍や正教会を差し置いて圧倒的に民衆の支持を集めたあの組織・・・
あそこに何かヒントがあるかもしれない。
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ミステ「これはどういうことです!!」
怒りをあらわにする王女ミステリア
ミステ「先日の『魔法協会員職業体験の件』です」
・・・
どのような凶悪な魔獣と戦うのかと緊張しながら向かった先
準備されていたのは半殺し状態の戦闘魚バトルフィッシュだった・・・
ぎょぎょぎょ・・・
何処か哀愁に満ちた目でビチビチ地面を跳ねるソレ・・・
「さぁ、王女・・・とどめを」
はやし立てる周りの面々・・・
ミステ「・・・」
・・・
「ご満足いただけませんでしたか?」
「当たり前です!」
分かってはいる。
私は王女なのだからもしもや万が一のことがあってはいけない。
だからこそ、あの厳戒態勢だったのだろう・・・
「ワガママを言っているのは理解しています・・・でもこれだけは譲れないのです」
どうか・・・
王女の真剣な様子に付き人は眉をひそめる。