【仮面王女編】誘拐とショートカットと魔法協会規則と


【仮面王女編】誘拐とショートカットと魔法協会規則と




ミステは目に見えて沈んでいた。





どんどん先に進んでいくウツロさん・・・
追いかけなきゃいけない。
魔獣退治の期日だって迫っている・・・

それなのに・・・


足が重い。




突然、水路の陰から、麻袋をかぶせられる。


!?



あっという間に小脇に抱えられて、
声をあげる暇さえなかった。





$$$





というわけで
現在、私は盗賊らしき3,4人の男たちに捕まって、馬車に乗せられている。



「ぐへへへ、全くラッキーだぜ。あんな場所で、こんなVIPに出会えるなんてなぁ」



「まさか、ミステリア王女を誘拐できるとは」
「他国に売り飛ばせば、一生遊んで暮らせるぜ?」
「はははは」


この人達の話を総合すると、
鼻が痒くて一度だけ仮面を外したところをばっちり見られていたらしい。
後ろ手で縛られて身動きも取れず、
馬車は魔獣の住む森のルートを進んでいて助けを乞うこともできない。


ああ、不運なことは重なるものだ・・・


不運?


これは私が『魔法協会の手伝いがしたい』などと望まなければ、起こらなかったことではないか?


つまり、必然だ。


王女に生まれた幸運以上のことを願ったから・・・
罰が当たったんだ・・・





「何サボっているんだよ」





馬車に何かが飛び乗る。

ウツロさんだった・・・



「なんだてめぇ?」
「こいつ、魔法協会員だぜ、兄貴!」

「馬鹿な・・・全力で走る馬車に追いついた・・・だと」



ウツロ「裏道通ってきただけだ」



「こいつらは魔法協会員だ・・・飛行魔法だって・・・お手のものだろうよ」
「なるほど!」
「納得だ!」


ウツロ「え、いや、だから、ショートカットを」


「こいつ、相当高位の魔法使い・・・」
「だが、この金づるを手放すわけにいかねぇ」


「やっちまえ!!」




まずい、
ウツロさんは魔力が5しかない、『ヘッポコ魔法使い』なのに
勝てるはずがない。





ウツロ()





・・・結果オーライということで









ウツロ「大丈夫か?」
大丈夫ならもっと元気そうにしろよ

ミステ「あなただって普段から似たようなテンションでしょう」
まぁ・・・そうだけども




自分の事を情けないと思わないでもない。

西の騎士国には
『竜殺し』などと呼ばれるほど武勇に優れてた姫もいるらしいし