隔夜 迷路と袋小路

迷路と袋小路





亡者は光を求めてさまよう。




カンカンカンと
金属の足場を歩く。

消えかかった灯りを頼りに
暗い工場跡廃墟を進む。

光・・・光・・・光が欲しい。
目の前にあるのは、巨大でずっしりと重い鉄壁・・・


抜け道を探す。


右に行ってみよう。恐る恐る壁伝いに進む。
しばらく、進んで、思い直す。

「・・・左に進むのが正解なのではないか」

引き返して左に進む。


抜け道はやはり見つからない。
あのとき、ずっと右に進んでいれば・・・と後悔する。


そして、亡者は本質的に目の前にある壁の本質に目を反らす。
楽をすることしか考えない。
それを本気で壊してやろうと考えることができない・・・



ソシャゲで例える。
新規登録でガチャが10回回せる。
最初のバトルは俺TUEEEの無双状態・・・楽しい

しばらく続ける・・・バトルきつい・・・システムわからない


・・・・アプリを消そう。


みたいな










『作品登録はこちら』



なんか最近『作品登録はこちら』みたいな
ショートカットができましたね・・・



・・・
楽して・・・
書籍化?・・・・




「罠だ!!」




恐ろしい、恐ろしい
これは、哀れな亡者を吊り上げる罠に違いない。
騙されるものか、騙されるものか

ガクガクブルブル・・・


『うわぁ・・・この方もう精神不安定なんですケド・・・』













後ろを振り向く。



シヴァが無言で立っていた。
(その悶える表情Goodですよ)

なぜか、いい顔で親指を立ててエールを送っていた。









頂上を目指して山に登る。





できる限り簡単なルートを選択する。
楽をしたい、近道をしたい。
どんな山も最初は平坦だ・・・すいすい登っていける・・・気持ちいい

しばらくすると、傾斜がきつくなる・・・辛い、しんどい・・・


・・・・あきらめよう。



ソシャゲで例える。
新規登録でガチャが10回回せる。
最初のバトルは俺TUEEEの無双状態・・・楽しい

しばらく続ける・・・バトルきつい・・・システムわからない


・・・・アプリを消そう。


みたいな



壁があるたびに、くねくねと回り道・・・


曲がって、曲がって・・・


あれ迷路みたいになってない?
出口はどっち?


・・・・・・そもそも『何を』目指していたんだっけ?



男の隔夜夢での亡者生活もそれに近い段階にある。
最初のすいすいは既になく。
壁にぶち当たるたび、ルートを模索するが・・・すでに全方位壁壁壁


歩く意志さえも徐々に徐々に奪われていく。




「袋小路だな」



「ご主人様、ご主人様」
シヴァがちょいちょいと男を呼ぶ。
原っぱの上、座る彼女
今にも倒れそうな主人に膝枕でもしてあげようと誘う。




(・・・これも悪手だ)



(・・・・氷の悪魔の彼女の体温は極低温・・・ずっと触れ続けていれば皮膚が低温やけどで壊死してしまう・・・)




『・・・その事実を知っているということは・・・試したことがあるということですか?』




「・・・さぁ、どうだったかな」



男は 目線を反らして ごまかした。