オリジナル小説

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ディアン「ああああ、おしい、もう一歩のところで邪魔が入ってしまいました。おそらくあの様子だと、私たちのことがバレてしまったとみて間違いないでしょう。」
シスターさん「・・・・・・・」
ディアン「・・・しかし、あなたは、あの白い剣の所有者の信頼を得ている。あなたが、直接『その白い剣を置いてこの村から出ていけ』こう言えばきっと彼は従うでしょう。」
シスターさん「・・・・・」
ディアン「白い剣を奪いましょう!そうすればこの村を脅かす脅威はなくなります。」
シスターさん「・・・・駄目・・・」
ディアン「はぁ?」
シスターさん「・・・・わたしは彼に会うことができない、彼と向き合うことができない。」
シスターはその場に座り込んだ。



シスターは恐怖した。自分が多くの人の命と引き換えに村の人々を生き返らせている罪にその罪をキロに責められることに・・
ディアン「・・・・どうして人間は、いえ、あなたは私の能力で生き返ったものに対して罪悪感を抱くのか。私には理解できません。あなたは村の人々が生き返ることを祈ってそれが叶って幸せではないのですか。それがどんな犠牲を払っていても小さなことではないのですか。」
シスターは黙り込んで答えなかった。




・・・・


わたしは村祭りの準備で地下の倉庫の整理をしていた。
たまたま転がっていたものをふんで頭を打って気絶していた。
村ではボルカ火山が噴火して全員・・・

私が気が付いた時には、もう村は変わり果てた姿だった。
わたしは必死でみんなを探した。
焼け跡を掘り返して手が火傷してもずっと掘り返した。
何人もの亡骸を集め終わったとき空から声がした。



ディアン「お困りですか?お客様」




・・・・



ディアン「わかりました。面倒事は私が片づけてきましょう。少々ここでお待ちください。お客様につらい選択を迫ってしまった私をお許しください。」
シスターは何も答えなかった。
それはキロを追放するか、殺してもかまわないと暗に言っていることになるとわかっていた。しかし、村のひとがまたいなくなってしまうことが彼女にとって絶対に起こってはいけないことだった。



ディアン「ごきげんよう!」
生と死を入れ替える悪魔がキロの前に現れた。



キロ「・・・・」


ディアン「はっきり言いましょう。シスター様は私のお客様です。彼女から伝言を預かってきました。えーおほん『その白い剣を置いてこの村から出て行って欲しい』と」


キロ「・・・お前の言うことなんか信じない。」


ディアン「ああ、困ります。お客様は今大変に取り乱されておりまして、今、会われると困るのです。」
キロはかまわず歩き出そうとした。




ディアン「ここを通すことはできません。」
キロは白い剣をディアンに突き付けた。


ディアン「私を斬りますか?もし私が魔力を失えばどうなるかお教えしましょう・・・」


「今この村の住人は周辺の村から集めてきた命で生き返らせています。私が魔力を失えば周辺の村の住人は生き返ります。しかし、この火山の村の住人は元の灰に戻ってしまうでしょう。どうです?それでも私に牙をむきますか?」



キロ「シスターさんはいい人だ。俺の心配だってしてくれた。そんな人が人殺しを容認するわけがない。俺はお前を信じない。」




ディアンは交渉をあきらめこの男を一刻も早く排除してしまうことに決めた。




ディアン「まったくもって不愉快だ。あなたのその空気の読めない馬鹿さ加減でシスターを傷つけるなんて度し難い。・・・・わたくしは何をビビっていたのでしょうか。前回私を封印した白い剣の所有者は屈強な戦士ばかりでした。しかし、あなたは違う、戦士とは程遠い、白い剣を持つだけのこわっぱだ。・・・・何を恐れることがありましょうか。もう一度丁寧に言いましょう。『白い剣を置いて尻尾を巻いて逃げるのなら命だけは助けてやるぞ?』」











ディアン「あなた私を倒すってことが何を意味するか分かってるんですか?・・・」
生と死を入れ替える悪魔の魔力を吸い取りつくした。
残りカスのコウモリが散り散りに逃げていった。


あたりが青く光りだした。青色の炎がいくつも村の家々から輝いている。
村人が燃えていた。
青い炎に焼き尽くされて村人は元の焦げた肉片に戻っていく。
青い炎の塊がそれぞれ元の持ち主に帰っていくようだった。
おばあさんもきっと生き返ったことだろう。



そして、村には誰もいなくなった。ただ一人をのぞいては・・



教会に戻った時シスターは座り込んでうつむいていた。
キロ(こんなことがしたかったわけじゃない・・村のひとを殺した、俺が全員、・・シスターを苦しめたかったわけじゃない)
キロがシスターに近寄ろうとした瞬間





「来ないで!!!」





シスターの声は泣き疲れてしわがれた声で痛々しかった。
キロはぺこりとお辞儀をして村を後にした。





キロは頭のどこかで悪魔を倒せば、この村の人々がもとに戻ると信じていた。
そして、シスターさんが悪魔に加担していたなんて信じたくなかった。
そんな甘い考えで行動した結果、この村にはシスターさん以外誰もいなくなってしまった。



涙は枯れた、冷や汗が止まらない、何度も嘔吐した。
そして、なんとかこの場所から離れようと必死に足を動かした。



俺は・・・こんなことがしたかったわけじゃない・・・・




道すがら使い魔がひょこりとあらわれた。
使い魔「いやあ、4,5日結界に幽閉されていまして、キロさんが悪魔を倒していただけたので助かりました。」


キロの体調はますます悪くなる一方だった。心臓に黒い塊があるような気がしてさらに大きくなった気がした。