ウツロ 透過風切り


ウツロ 透過風切り



キョウカさん



『透過風切り』はオリジナル魔法で、ウツロの対人戦における切り札である。
新人研修の時に剣神ガルフェンに傷を与えたのもこの透過風切りだった。

ガードや魔法障壁をすり抜けて相手に傷を与える・・・ように見える、そう見えて欲しい。


この魔法は剣を2回振るのがポイントである。実質2回『風切り』を放っている。

風切りは長い竿をしならせてブンと風を切るイメージと説明したが、1回目の風切りがしなる前に次ぎの風切りを発生させて相手のガードの側面に1回目の風切りをねじ込む、これが透過風切りの正体である。長い竿の先に鎌の刃を仕込んで攻撃と書くとわかりやすいだろうか。


小細工を入れているので威力もガタ落ちであるし、なけなしの魔力を2も消費する、総量5しかないのに
この魔法は手品みたいなものでネタが割れるともう通じない。基本ウツロはこの技を誰にも見せないようにしていた。秘密を知ってしまった者は・・・ふふふ・・・特に何もしないけど




支部のある街ミストクラノス、夜

週末なので歓楽街は賑わっていた。メインストリートから少し外れたところにあるこの飲み屋もウツロの行きつけだった。あんまり飲めないけど、居酒屋行きたいんだよ・・・

赤い提灯がたくさん並んで不思議な文字が書かれている。建物も木造で不思議な感じだった。ここのマスターは異国出身だと言っていたっけ・・・


ウツロ「・・・マスターいつもの奴」


「ウツロちゃん、久しぶりやなぁ・・・もう・・・女将おかみって呼んでっていつもゆうてるやろ」



オカミ?・・・何語だろうか・・・前にそんなことを言ってたな・・・忘れてた。



黒髪で妙齢の美しい女性が出迎えてくれる。確か名前はキョウカさんだっけ
喋り方が異国なまりだが、その優しい感じは嫌いではない。


「そういえば・・・ウツロちゃんが来た時のためにスペシャルドリンクを準備してたんよ・・・」


いつものお酒を2分目ほど注いてあとは甘い炭酸で割る。
「これやったらいつも飲めないウツロちゃんも飲んだ気分になれるやろ・・・」




0.2に薄める・・・それは・・・自分の『0.2風切り』を思い起こさせて・・・なんか嫌だった。




ウツロ「マスタじゃなくて、オカミ・・・やっぱりいつもの100%がいい・・・そっちがいい」
ウツロは懇願する。


「・・・せっかくウツロちゃんが喜ぶと思ったのに・・・ツレないなぁ・・・」



キョウカさんは残念そうだった。