ケーリーの叫びと仲直り

ケーリーの叫びと仲直り




あなただけは・・・




ケーリーがミラを見つけたのは偶然だった。
逃げようとするミラを捕まえて話を聞いた。


ケーリー「どうしたの?今日は確かウツロさんと仲直りするんじゃなかったの」

あの男に何か言われたのか・・・
ウツロさんなら容易に想像がつく・・・
だから言ったでしょう? あんな ちゃらんぽらん な男はやめた方がいいって・・・
これも勉強と思って今度はいいひとを紹介してあげるわ・・・



ミラ「・・・ひっく・・・ひっく・・・」
ケーリー「・・・」


ミラ「ウツロ先輩に・・・『魔力が少ない自分なんか』と・・・付き合わない方がいい・・・って言われたの・・・」
ケーリー「・・・」




ミラ「ウツロ先輩も・・・ケーリーみたいに離れて行っちゃうって思ったら・・・私・・・私・・・涙が・・・止まらなくて・・・」





私みたいに離れて・・・


・・・

・・・・・


私が魔法協会の魔女になるのをあきらめた時・・・ミラは何も言わなかった・・・そんな風に思われていたなんて気づかなかった・・・

ミラの泣く姿に・・・イズナの涙が重なる・・・




ケーリー「・・・」




私は・・・自分で思う以上に・・・頼られて慕われていたんだな・・・






ケーリーさんはすーっと息をすって・・・目を見開く・・・




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ウツロはミラを探す。


あいつ足が速いな・・・
あいつ・・・あんなに泣かなくても・・・
・・・
いや、俺が悪いんだろうな・・・
追ってどうするんだ・・・とにかく急げ急げ



通りの先・・・ケーリーさんに出くわす。


ウツロ「おお、ケーリーさん・・・」
ケーリー「・・・」


自分をはっきりと見つめるケーリー・・・気圧される・・・


ケーリー「ミラにすべて聞きました・・・」
ウツロ「・・・」


ケーリー「あなたの言葉は間違っていない・・・ミラの才能はやがては七賢人にさえ匹敵するでしょう・・・そんな人物に魔力が5の『あなたごとき』が付き合えるわけがないんです・・・」




ケーリー「あなたの気持ちも『私には』よくわかります・・・」




ウツロさんは嫌いだ。

魔力5・・・私より低いのに魔法協会の剣士を務めているなんて・・・そんなことありえない。

さらに最近、オオカミ森の件でアクアローナ様を助けたという話を聞いた。
その役割を果たしたかったのは・・・私なんだ。




それなのに・・・それなのに・・・
あなたがそんな態度では・・・私はもっと惨めじゃないですか・・・





ケーリー「でもね・・・そのセリフは・・・『あなただけ』は言っちゃダメだったんだ!!」





俺だけは言ってはダメ?
ウツロは何がなんだかわからなかった。
ケーリーさんの真剣な目に圧倒されて何も言えない・・・


『仲直りするまで出てこないで下さい。』というセリフと共に、
ミラとウツロは北支部の資料室に閉じ込められた。


ケーリーは・・・心のわだかまりが軽くなったような気分になった・・・

ケーリー「全く・・・世話が焼けるんだから・・・」


そして、大きくため息をつく・・・




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ウツロはこの状況をどう打破するか悩んでいた。
ミラは少し落ち着いているようだった。
ウツロはミラの横に腰かける。


ウツロ「俺は・・・」
ミラ「・・・」



ウツロ「俺は何も聞かない・・・過去に何があったかとか・・・話したくないこともあるだろうからな・・・面倒だし・・・」


ミラ「もう少し・・・興味を持ってくれてもいいのに・・・」
ウツロ「・・・」





ミラ「本当に・・・私は『面倒な後輩』ですね・・・」
ウツロ「・・・まあいいさ・・・今日の俺も『面倒な先輩』だったよ・・・」





ミラの腕が自分の腕に絡まる・・・



ミラの胸が当たって・・・毎回どきりとするんだよな・・・
ミラ「しばらく・・・こうしていて いいかな・・・ウツロ先輩」



返事するのもどうかと思う・・・まあ、今日は許す。