ミラの過去とウツロの失言


ミラの過去とウツロの失言




俺なんかより・・・




ぼんやりベットに寝そべって天井を見つめるウツロ・・・


ふと、魔法協会に入ったばかりの頃を思い出す。
右も左もわからずに何事にもドキドキしていたあの頃・・・


+++++++++++++
仕事頑張るぞ・・・
怖い先輩とかいるだろうか・・・
魔獣は恐ろしいだろうか・・・

それから・・・恋人とか、彼女ができたりするんだろうか・・・うう
++++++++++++++


なーんて可愛いこと考えていたなぁ・・・あの頃は若かった・・・


お酒を飲んだミラとキスをしてしまったことを思い出す。
・・・が・・・あれは刺激が強かったな・・・
ここ最近は女っ気などとかけ離れた生活をしていた自分には刺激が強すぎる・・・


あのあと・・・必死でミラを縛ってことなきを得たけれど・・・
もったいなかったんだろうか・・・
俺だってミラみたいな可愛い子をモノにしたいって気持ちは十分にある・・・


だが・・・


だが・・・・・


ウツロは少し冷静になった。


よくよく冷静に考えたら・・・
後輩の魔女と二人っきりの時にお酒を飲ませようとするって行為がもうNGかもしれなかったな
危ない、危ない・・・命拾いした。

あれ?むしろ俺の方が襲われていた気もするけれど・・・





$$$





それはミラとケーリーが魔法学校に通っていた頃、最終学年のことだった・・・


ミラ「ケーリー!!」
ミラはケーリーに飛びつく。ミラの胸がケーリーの顔にのしかかる。

ケーリー「・・・」


ミラ「じゃーん!合格証書!!」

ミラ「卒業試験クリアできたんだ。魔法協会の入会試験もパスしたし、これで晴れてケーリーと一緒の魔法協会員だね」



ケーリー「・・・」



ミラ「ケーリーと一緒に魔獣討伐・・・今から楽しみだな・・・『背中はあずけたよケーリー!』みたいな・・・ふふ」


ケーリー「・・・ええ、そうね」


ケーリーは目を合わせてくれなかった・・・ケーリーの後姿を必死で追いかける・・・それでも追いつけない・・・私は・・・私は・・・




夢か・・・
嫌な夢・・・
何度も見る夢・・・



ミラはベットの上で天井を見つめる。


ケーリーは全く違う部署で働いている・・・私は・・・そのことを問い詰めることができなかった・・・私にだってなんとなくわかるから・・・



ウツロ先輩と初めて会った時・・・そうだ・・・どことなく・・・似てたんだ



今は・・・ウツロ先輩と変な感じになってる・・・あの夜の記憶はないけど・・・早めに謝ってしまおう・・・よし





$$$






ウツロとミラはミストクラノスで対面した。お酒の一件があってから以来であった。
お互い言いたいことが切り出せなくてもじもじとしている。


ウツロは考える。
「恥をかかせてごめん」・・・いや違うな、それだと襲わなくてごめんに聞こえる
「まずは友達から」・・・いやいや、なんで付き合うことになってんの
「お酒って怖いな」・・・違う!何もなかったから未遂だったから


改めてミラを見る。
ミラは可愛いな・・・こんなヒトが彼女だったらいいなそう思う気持ちも確かにある・・・だったら・・・だったら・・・


ごくりと息を飲む。そして、ウツロから出てきた言葉は・・・自分の意図とは全く違っていた・・・




「ミラ・・・俺なんかよりも・・・もっと魔法力が高い出世する人物と付き合った方がいいんじゃないか?」




あれ・・・あれ・・・何を言ってんの・・・俺・・・
その言葉は・・・勝手に流れ出していた・・・



ミラはボロボロと涙をこぼしている・・・


あの・・・いや・・・違う・・・


ミラはひるがえって走って行ってしまった・・・










ケーリーの叫びと仲直り




あなただけは・・・




ケーリーがミラを見つけたのは偶然だった。
逃げようとするミラを捕まえて話を聞いた。




「ウツロ先輩も・・・ケーリーみたいに離れて行っちゃうって思ったら・・・私・・・私・・・涙が・・・止まらなくて・・・」


ケーリーさんはすーっと息をすって・・・目を見開く・・・



$$$



あいつ足が速いな・・・

追ってどうするんだ・・・とにかく急げ急げ



おお、ケーリーさん・・・


ミラにすべて聞きました。


あなたの言葉は間違っていない・・・
ミラの才能はやがては七賢人にさえ匹敵するでしょう・・・そんな人物にあなたごときが付き合えるわけがないんです・・・







それなのに・・・それなのに・・・



「あなたの気持ちも『私には』よくわかります・・・」


「でもね・・・そのセリフは・・・『あなただけ』は言っちゃダメだったんだ!!」



ケーリーさんの真剣な目に圧倒されて何も言えない・・・



ウツロは何がなんだかわからなかった。


『仲直りするまで出てこないで下さい。』というセリフと共に、
ミラとウツロは北支部の資料室に閉じ込められた。



ケーリーは・・・心のわだかまりが少しなくなったような気分になった・・・
そして、大きくため息をつく・・・
全く・・・世話が焼けるんだから・・・





ミラ「私は『面倒な後輩』ですね・・・」

ウツロ「・・・まあいいさ・・・今日の俺も『面倒な先輩』だったよ・・・」


毎回どきりとするんだよな・・・
ミラ「しばらく・・・こうしていていいかな・・・ウツロ先輩」



返事するのもどうかと思う・・・まあ、今日は許す。

















帰ります。これで逃げるようだったら・・・私は一生ウツロさんを許しません・・・

怖い



ケーリーは頼れない・・・



雷速!


ケーリーはミラに軽い電撃を浴びせる。
かふっ・・・

ミラ私から逃げれるわけないでしょう?
まあ、1回しか使えないんだけど・・・


【雷速】
ケーリーさんの編み出した、雷系統の体術魔法
のちにイズナに伝授した。





そういえば昔・・・リグレット先輩に説教されたことがあったな・・・


謙虚のつもりかもしれないけど・・・自信を持たないことも・・・罪なんだよね・・・






別にウツロさんは何も悪くないんです・・・すべて私のせい・・・