ミラ 魔法学校 歴史の授業にて
存在しない勇者・・・
魔法学校、『近代史と地理の講座』にて
ずっと同じ調子で長々と話す講義にクラス全体が眠そうであった。
ふと・・・ケーリーは前の席に座っているミラの姿に驚く。
おお・・・今日はずいぶん真剣に授業を聞いているんだな・・・
「えーよって・・・数年前・・・ラグベール王国は、不死の王ラグールという悪魔を召喚したことによってラグベール城は崩壊し瘴気によって人の住めない地域になってしまいました。」
「そして・・・不死の王ラグールを討伐したのが、我らが魔法協会の七賢人であります・・・」
ミラ「先生」
ミラが手を挙げる。
「なんだね。ミラージュ=イエール君」
ミラ「それは・・・違います。」
「?」
ミラ「その不死の王ラグールという悪魔は七賢人が討伐したのではないと思います。」
「・・・では・・・誰が討伐したと言うのかね・・・」
ミラ「・・・それは・・・その・・・強くてカッコいい剣士だと思います。」
どっとクラス中から笑いが起こる。
「ミラージュ君、それは君の夢の話かね・・・とりあえず、トイレで顔を洗ってきたまえ、ほら、他の者も起きるように」
ミラは悔しそうに廊下へ出ていく。
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夕刻、
下宿先にて、ふたりは夕食を食べる。
ケーリー「さっきはどうしたの?・・・あんなに意見するなんて・・・初めてね」
ミラ「だって・・・そんな気がしたから・・・」
そういえば、ラグベールの事件はミラの記憶を無くした時点と一致する・・・まさかあの現場にいたとか?・・・
ちらりとミラを見る。
さっきのことなどすっかり忘れて、おいしそうに夕食を頬張っていた。
まあ、いいか・・・