【行商人編】自分の価値
そりゃあんた・・・騙されてるに決まってるでしょ
ラグベール崩壊後、
トウカゲ、ジレンを分かれて新天地を目指す。
途中、魔獣に襲われ荷物を無くして、
行き倒れそうになったところを大きな行商団に拾われた。
今は、行商団の手伝いをして暮らしていた。
ウツロ「終わりました。カルロさん」
カルロ「はいはい、お疲れ」
カルロは年上の姉貴分だった。親方を通してウツロに雑務を与えていた。
休憩中、
カルロとは色々なことを話した。
話し上手、聞き上手は、商人としての必須スキルだと言っていた。
カルロ「へぇ・・・あのラグベール王国から・・・あそこは悪魔に滅ぼされて住めなくなったらしいね・・・たくさんの難民が周囲の国へ逃げていったよ。」
上手く周囲の国へ逃れることが出来た人もいるし、不必要扱いされて追い出された人も多かったそうだ。
ウツロ「・・・く」
改めてそんな現状を聞かされるとトウカゲちゃんの『クラスティア魔法学校入学』の話を断った自分は馬鹿だったと感じた。そんな話をカルロにするとカルロは・・・
カルロ「そりゃあんた・・・騙されてるに決まってるでしょ」
ウツロ「え」
カルロ「冷静に考えてみなよ、縁もゆかりもない他人を魔法学校みたいなエリート学校に入れようとする『メリット』はなんだい?」
ウツロ「・・・えーっと」
カルロ「余程、魔力が高いならともかく、あんたに投資して、儲けが出るなんて考えられないね。」
・・・俺は魔力5だったな・・・ああ
カルロ「もしくは、『大きな恩』があるとか、その人が『魔法協会のお偉い』だとか・・・そんなこともないだろう・・・」
・・・トウカゲちゃんに『大きな恩』なんてないし
・・・トウカゲちゃん(少女)は『魔法協会のお偉い』でもないだろうし
カルロ「自分の価値を見誤っちゃ駄目だよ?価値以上の対価の提示、それは大体は『詐欺の手口』だからね。」
その日を境に過去への後悔はなくなった気がした・・・そうかあれは騙されるところだったのか・・・危ない危ない。