【大海さん覚醒編】やわらかいものは
テスラ先生の到着で事態は動く。
「国際指名手配犯、ゲスパ=ローロル、あなたを拘束します」
「ひいいぃ」
「『水上孝一』私を守れ!!」
虚ろな目をした孝一が・・・ゲスパを守ろうとする・・・
その様子を見かねたユズハはゆっくりと座布団から立ち上がる・・・
ユズハ「孝一君、敵対するというのなら・・・不出来な弟子にはお灸を据えるのが師匠の務め」
おお、このセリフ一度は言ってみたかったのよね・・・
バキリ、バキリと指を鳴らすユズハ・・・
「ユ ズ ハ 師 匠 ・・・」
背筋の凍えるような声が・・・道場内に響く・・・
「師匠が・・・出るまでもありません・・・私に・・・行かせてください・・・」
大海は静かに前に出る・・・
あまり意思表示をしない、大海の迫力ある様子に少しびっくりする・・・というか・・・
ユズハ(大海ちゃんから立ち上っているあの『白い煙』は何かしら?)
私は・・・私はね・・・孝一君・・・
目標とか・・・やりたいこととか・・・今は見つけられないけど・・・
私は・・・孝一君は・・・
私が・・・守るんだ!!
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大海と孝一戦いは・・・静かに始まった・・・
スキのない重心移動からの高度な読みあい。
取られた腕を押し返して大海が重心をズラして投げ飛ばそうとする。
ユズハ「・・・まずい」
間一髪避けた孝一は、追い打ちをかけに接近した大海に・・・『はたく』を打ち込む
ビリビリと振動が走る道場内・・・
誰もがその様子を固唾を飲んで見守る・・・
大海は・・・平気だった・・・
『はたく』・・・今のは『成功だ』と思う・・・ずっと見てきたんだから・・・多分そうでも私は気絶してないよ・・・二人で練習した時・・・もしやって思ってたんだ・・・もしかしたら私には・・・『はたく』が効かないんじゃないかって・・・
・・・私のお腹・・・ぷにぷにしてるからッ
一瞬を逃さず、大海が投げ技を繰り出す・・・
道場が振動するほどに大きな音を立てて、孝一は道場の床に打ち付けられる。
孝一は白目を向いて気絶している様だった・・・
ユズハは驚く・・・
(真田流の攻撃技・・・どうして、大海ちゃんには教えていないはずなのに・・・)
ユズハ「・・・あの・・・大海ちゃん・・・今の技って・・・」
大海「・・・真田流に攻撃技があるとしたら、こんな技かなって想像で繰り出しました。『先読み』は真田流の基本ですよね・・・」
大海の笑顔にユズハは少し戦慄する・・・
勝負は・・・大海の圧勝であった・・・