【行商人編】バンリは魔法の才能に溢れている

【行商人編】バンリは魔法の才能に溢れている





バンリ「よっしゃー!!私の10連勝!!」





騎士の模擬戦にて、ウツロに勝利するバンリ
バンリは倒れ伏すウツロを尻目にガッツポーズをする。


ウツロが騎士国に来て7日目
魔法を教えるはずが、ウツロの方が騎士国の戦闘技術を指導される立場になっていた。
魔法教えても「ふーんそうなんだ」という薄い反応だったし
そもそも魔法の初歩の初歩(風切り)しか知らないから興味薄くて当然だけども
ああ、『魔力もない』『知識もない』何も持っていない自分が嫌になる。



「私の圧勝だな」
「そうか?結構いい勝負してるじゃないか」


確かに合計で2回ほどは負けたな・・・


「ウツロ、もう一勝負いくぞ!!」
よろめきながらも立ち上がるウツロ



ゼフ(なんだかんだ・・・ウツロ君もタフだな)




$$$





『魔法を使えない人間』が『魔法を使える人間』に勝てるはずがない。
そう思っていた。
だが、魔法を使えないバンリは確かに俺よりもずっと強い・・・
『魔力がないから俺は弱い』
『魔法を使わなくても強いバンリ』
じゃあ・・・俺は 単なる雑魚 ってことになるだろうが





夕暮れ時・・・





バンリは何度目かの勝利に満足しながら夕日を眺める。
ウツロはまだ仰向けに倒れて立ち上がれないでいた。



「やはり・・・私と騎士国の騎士達ならば魔法なんて敵じゃない」
ふふふ・・・にやけるバンリ



「馬鹿野郎・・・魔法は・・・俺以外が使えば・・・ちゃんと強いぞ」
ああそうだ、俺ごときに完封したからといって魔法のすべてを知った気になられては困る。
多分俺は全魔法使い中最弱だぜ?


むしろ・・・

バンリが魔法を使った方がずっと強いかもな・・・
バンリの『闘気』は他のどの騎士よりも強いし量も多い、
もしかしたらミレス並みの魔力があるかもしれない。


バンリはやれやれと呆れた様子で話を始める。




「ウツロ・・・お前がどうして弱いか教えてやろう・・・」




『魔法なんてものに囚われているからだ』
魔力が少ない?だったか・・・自分にないモノに
いつまでもウジウジしがみついて他の強さを探そうともしない
『魔力が無くたって強くなってやる』
お前に足りないのはその気概じゃないのか?



ウツロ「・・・」
心がざわつく・・・ざわついてざわついて文句のひとつでも言ってやりたかったが
反論の言葉が出てこない・・・




「私は強くなる・・・強くなってこの国のみんなを守るんだ」




バンリ「だって、私はこの国の姫だからな」



ウツロ「え」
お前・・・姫かよ


バンリ「ああ、そうだ、姫騎士だぞ?」



ウツロ「・・・」



バンリ「かしこまらなくていいぞ、私は騎士として、まだまだ半人前だからな」



いや、そういう気持ちは全くないが・・・
姫騎士という単語の期待感を返せと言いたい

「おい、それどういう意味だよ」





$$$






先輩騎士にそろそろ上がれと言われ
二人は隊舎へと歩を進める。
よろよろのウツロを見つつ、バンリはふと思い出す。



・・・



魔法か・・・



確か・・・
風切りとかいう魔法の使い方は・・・




『闘気=魔力』を剣先に注ぎ込めるだけ注ぎ込んで・・・




対象に向かって・・・
するどく振る・・・だったかな?



何も考えず・・・
目に入った城壁に向かって剣を振る




・・・・ドゴッオオオオ!!!





城の巨大な城壁が・・・削れて崩れた。


唖然とする二人


バンリが涙目でこちらを見る。
「どうしよう、お前のせいだぞ」みたいな目で見られても困るんだが







『魔法を使えない人間』が『魔法を使える人間』に勝てるはずがない。
そう思っていた。だが、魔法を使えないバンリは確かに俺よりもずっと強い。
『魔力がないから俺は弱い』
『魔法を使わなくても強いバンリ』
じゃあ・・・俺は 単なる雑魚 ってことになるだろうが








何度も勝負を挑むなんてらしくない。
あらためて・・・この時の自分はどうかしていた。
だが、どうしても納得がいかなかった。





それだけは・・・覆っちゃ駄目なんだよ


その後の勝負でも、風切りはバンリにかすりもしなかった。

こんなの自分らしくないそう思う。
ただ・・・どうしても、納得できなかった


それだけは・・・覆っちゃ駄目なんだよ


・・・本当のことを言われている気がして反論できん


ここまでの完封負け、認めざる得ない。



戦闘力っていうのはもっともっと複雑なんだ・・・そう思う。
・・・ただ『闘気』とかいう無意味な魔力の放出だけは理解できないけど

魔法さえちゃんと出来るようになれば強くなれる・・・そう思っていた。
順番通りのターンバトルならいざ知らず、実際の戦闘はもっと複雑だ。
魔法発動を読まれれば当てることの難易度が格段に上がる。
それを支える筋力や剣術ももっともっと必要だと思い知らされる。




バンリ「お前の魔法(笑)は完璧に見切ったぜ」


私はこの国の姫だからな!


え・・・


姫騎士って単語の期待感に謝れ
なんだとこの野郎