【行商人編】竜殺しのバンリは他国に名が轟く
ウツロは砦に向かうバンリの前に立つ・・・
何も言葉を交わさず・・・勝負する二人
ウツロは10秒経たず、バンリの攻撃の前に沈む・・・
バンリ「おい、普通こういう場合はもう少し頑張るモノだろう、何の策もないのかよ」
呆れるバンリ
んー
もしかしたら奇跡的な力が働いてバンリに勝てるかもと思ったが、
そんなことはなかったか・・・
世の中に『感情論なんてものはない』という事が今、立証されたわけだ。
バンリ「私にはこの騎士国で培った武術がある、私は・・・何年もかけて磨いてきた自分の武器を信じて戦うだけだ」
バンリ「そう、私は騎士だ、魔法なんて使ったら・・・それもう騎士じゃなくなっちゃうだろうが」
・・・何言っているんだお前
ウツロ「何を使ったってそれが『有用な技術』なら使うべきだろ」
バンリ「ふん、いかにもお前のような、サボりのいいかげん男が考えそうな理屈だ、筋も何も通っていない」
騎士国の騎士たちは初見の『赤竜』に必ず負ける。
吹く炎の熱で内側から蒸し焼きにされて、全滅して、恐れず正面から堂々と戦ったなんて賞賛されて、後世のどうでもいい人々の涙を誘うだろうか・・・
「失くしてからじゃ・・・『全部遅い』だろうが」
「バンリ・・・お前は言ったよな・・・『強くなってこの国のみんなを守るんだ』って・・・それは騎士とかっていうプライドの方が優先されることなのか?・・・強くなるために『こだわりなんか捨ててしまえ』って言ったの誰だよ・・・お前の通したい意地は何なんだ!!」
ウツロは声を荒げる。
バンリは顔を真っ赤にして怒ったが
反論の言葉が・・・出てこなかった。
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赤竜が遠くからゆっくりと接近してくる
いざ、巨大な赤竜を前にして・・・騎士団の部隊は息を飲む。
バンリは部隊の最前線に立つ。
部隊の先陣を志願した。
それは騎士国ではとても名誉なことで、皆のバンリへの信頼の証だと言える。
その先陣で今から使うのが魔法だなんて知れたら、それはとても不義なことだろうか?
彼の何が信じるに値する?
私は騙されているだけかもしれないぞ?
最初の一撃、それに全力を傾けろ
勝てると思って近づいてくる竜の出鼻をへし折ってやれ
距離は大切だ。
距離を間違えるな・・・
あいつ・・・
言いたい放題 言いやがって・・・
私の通したい意地・・・
そんなこと・・・決まっているだろうがッ!!
その日、騎士国の騎士たちは赤竜相手に誰も死なせずに大勝利する
その勝利の立役者は『竜殺しのバンリ』と呼ばれ、他国にもその名を轟かすこととなるのだった。
つまりだ。
お前の通したい意地はどっちだ!!