髭スライムと監査員
ケーリー「調査のために明日、『監査員』が来場されるそうです」
監査員とは、
規則を守っているか事細かに確認し、
些細な事にもいちゃもんをつけてくる魔法協会本部独立機関の怖い人達である。
『ウツロさんがスライムのスパイではないか』という疑惑だそうで・・・
支部の面々はその話を聞いて大笑いする。
「あははっ」
「スライムのスパイって・・・」
「ホント監査員っていい仕事だよな」
「流石に言いがかりが過ぎる」
ウツロ「・・・」
その監査員は前回のケーリーの鋭い指摘に恥をかかされたことを根に持っているらしく、小さなことをネチネチと指摘することが増えていた。
ミラ「ウツロ先輩・・・それってたまにウツロ先輩の部屋にいる『髭の奴』のことですか?」
ん・・・ああそうだが・・・
って面識あるのかよ・・・
魔法協会規則において魔獣討伐部の人間が魔獣と通じていることは重罪だ、場合によっては厳罰もあり得る・・・
支部長「まぁ・・・わざわざ来てもらうのだから失礼のないようにな」
誰も本気にしていないようだが・・・
ミラ「ケーリーも本気にしてないよね?」
ケーリー「私は目撃した事実をたんたんと述べるだけですよ」
以前私はウツロさんとスライムが二人で街中を歩いていたのを目撃したことがあった。
※話
ミラ「え」
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その後ミラは涙ながらに懇願してきたが、私は軽くあしらって支部を後にした。
『学業や仕事の場では嘘はつかない』
これは私のポリシーだ、曲げるつもりはない。
ふふふ・・・これでウツロさんは魔獣討伐部にいられなくなるかもしれない
私の邪悪なる心がそう囁く・・・
まぁそれもウツロさんの自業自得だし
そういえばあの時、ウツロさんはスライムと何か話をしていたな・・・
ははは傑作・・・
まさかスライムが喋るわけ・・・
「夜分遅くに淑女レディの部屋を訪ねる無礼を許していただきたい」
ダンディな声・・・
ん・・・なんだこれ・・・
床から聞こえ・・・
そこには立派な髭をたくわえたスライムがたたずんでいた・・・
ケーリー「・・・」
えええ
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スライムは
「ウツロ殿に恩を返すために馳せ参じたにもかかわらず、ウツロ殿に迷惑をかけてしまうなど・・・言語道断・・・」
あっさり流すのかよ・・・
私の精神的葛藤に費やした時間を返して欲しい。
紅茶美味しかった。
全く・・・
ケーリーはため息をつく。
支部長「なぜうちに直々に監査が入るのかね・・・」
ビビる北支部長
ケーリー「なんでも『ウツロさんが魔獣側のスパイではないか』という疑惑があるそうで」