【仮面王女編】サボりのウツロ
朝、鏡の前で自分を見る。
魔法協会の制服を着た私・・・
王女ミステリアとはまるで別人の姿がそこにあった。
すーすーして恥ずかしかったが、
ミニスカートにも段々慣れてきた。
いつもの『鳥かごスカート』は重いうえに姿勢崩せなくてしんどいですし
それにティアラ・・・あの重い奴をつけなくていいのも良い。
肩が凝りますし、この間、顔を傾けた時なんて首が折れるかと思いましたわ
そして・・・仮面を装着する。
こんな不気味な仮面なんて付けていたら周囲から『浮いて』しまう
などと思いきや
意外に皆さんの反応は普通だった。
組織には『風土』というものが存在する。
王宮は格式が重んじられるように集団があればそこには独自の空気があるものだ。
魔法協会のそれは『多様性を容認する』であるが、やや穿った見方をすると
『キャラ被りを許さない』ともいえる。
(一般人ぽい方々も多いが、なんとか独自のキャラを出そうと無駄に頑張っている節がありますわ)
・髪を染める
・タトゥを入れる(魔術的な意味なし)
・キャラ作りで太ってみる
等々
「また、サボってるのか、ウツロ」
「おい、ウツロさぼるなよー」
そして、このひと、ウツロ=ハイイロさんは・・・
ミステ「・・・というキャラ作りですのね?」
ウツロ「キャラ作りって言い方やめろよ」
$$$
旧市街地下水道の仕事の話に戻る。
私達の担当区域には
獣蝙蝠やらスライムやらの魔獣が多かったわけですが・・・
いかんせん数が多く進まないでいた。
水道の出口付近、
肝の冷えそうな崖の上、わずかな足場を頼りに獣蝙蝠の巣をつぶす。
風切り
風切り
風切り
風切り
ウツロ「・・・今日はもう打ち止めだな・・・」
ミステ「えええ・・・まだまだ、たくさん居ますわよ」
「仕方ないだろう、もう魔力が0なんだよ」
5回撃てるはずが、少し魔力を多めに込めてしまったので、実質4回しか撃てない。
・・・この人不便ですわ
「あとの時間はスライム討伐に費やすか」
スライム討伐・・・
弱点のないあれを倒すために延々剣を振り続ける作業のことですの
よくやりますわ
周囲より能力が劣っていること・・・
それを個性と言えば聞こえはいいかもしれないけれど・・・
ミステは気の毒になってきた。
「ウツロ、またサボってるのかよ」
呆れ声、
ヤジを飛ばす人もいる。
(ウツロさんはサボっているわけじゃありません・・・魔力がないから魔法が使えないだけですわ)
ミステはむっとして反論しようとしたが、
ウツロが止めに入る。
「魔力ないって言われるより・・・サボっているって言われた方がマシな気がする・・・」
なんですの、そのよくわからないプライド・・・