【仮面王女編】エアコン姫

【仮面王女編】ミステの魔法





旧市街地下水道、仕事の続き・・・





「ここはわたくしの出番ですわね」




ただ魔法協会の仕事を手伝いたいなんて
ワガママを言っていた訳ではない。

王女といっても私は『魔法の国クラスティア』の王女なのだ。
当然、魔法の心得もある。
むしろ、魔法の訓練は一番頑張っていたと言ってもいい。
『火の魔法』『氷の魔法』私は2属性も使えたりする・・・ふふ


万物を焼き尽くす
火の精霊よ
我に力を貸したまえ
我は火を放たん



火炎球!!



放たれた火球は獣蝙蝠を焼き尽くした・・・



ウツロ「ミステ・・・お前ってどこかのお嬢様か?」

ミステ「え、何を根拠にそんなことを・・・」
動揺するミステ・・・



まず、そんな初歩的な魔術にあんなに長い詠唱・・・

魔法の詠唱について
基本的に魔女は慣れた魔法には詠唱をおこなわない。
詠唱は、集中できず魔力が暴発するのを防ぐためにおこなう行為であるためだ。
長い詠唱ほど魔力暴発を防ぐことが出来るが、逆に発動時間がかかって戦闘には不向きになる。


あと・・・その腕輪・・・『魔力制限装置リミッタ』だろ?


こちらも魔力暴発を防ぐための魔術具である。
魔力の高い人間は、魔力暴発を起こすリスクが高い。
場合によっては精神に異常をきたし、破壊衝動を抑えられない者もいるらしい。
これは、大昔、魔法が禁止されたり、魔女狩りがおこなわれた理由のひとつらしいが、

それ魔力暴走症にかかった患者か貴族の子供がつけるやつだぞ




ミステ「・・・そんなこと・・・どうでもいいじゃないですか・・・」
口笛を吹いて誤魔化す、ミステ


まぁ・・・深く聞く気はないが・・・




火炎球!!

氷槍!!



だが、その魔法は避けられて当たらない。



ウツロ「・・・詠唱が長すぎるから、テンポ読まれてるんじゃないか?」
うう・・・薄々そんな感じがしてましたが、実際言われると辛い。
無詠唱・・・なんだか怖くてできない



ウツロ「・・・不便だな」



ミステ「・・・うう・・・あなたにだけは言われたくありませんわ、私のオリジナル魔法・・・特に『熱気還流』『冷気還流』は本当に便利なんですのよ」



『熱気還流』
体の周りに熱い空気を纏わせる魔法、冬の底冷えする廊下で必需品ですわ

『冷気還流』
体の周りに冷たい空気を纏わせる魔法、
夏の暑い時期、重たいドレスを着ていても大汗をかかなくて済む素晴らしい魔法



ミステ「・・・」
ウツロ「・・・」




「自分の事さえ良ければいいのかよ」



自分の事さえ・・・
国民を守らず、
自分の身だけを守った『腰抜け王』・・・



「ウツロさん!!」
声を荒げるミステ



あなたは・・・私に対して一番、ゆうてはならん事を言いましたわ




「冷気よ・・・」



ほら冷気、どうです?・・・涼しいでしょう
あなたの役に立っていますわ



冷ややかな笑顔と
ぶおーっと袖口からひんやりした風が流れる。


ウツロ「・・・」


その風はひんやりと心地よかった。








「いいから、それ外せ、あと無詠唱覚えろ」