脛蹴り 誇りを取り戻したくはないか?


誇りを取り戻したくはないか?




敗けの記憶は心に深く刻まれる。




ケイシュウは考える。
戦争末期、非正規の少年兵だった。
たくさん死んでいく、先輩たち・・・
そして、どれだけ旗色が悪くなろうが、最後まで桜花国が勝つことを信じて疑わず、ついには自分の身を投げ出して死んだ上官・・・


勝ちも敗けも、殺すべき敵も・・・
『すべては意味なんてない』そう思えた。
それが、ケイシュウ=ミヅチという人間が感じた過去の経験からの教訓であった。




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ミシェル=ヘルドールの父は厳格で厳しい。

桜花国の転入生に決闘で負けたという事実は、
彼を激昂させるには十分だったらしい。


「何をやったか分かっているのか!お前は、国王より鍵の管理を任される我がヘルドール家の威信に泥を塗ったんだぞ。」


父親に殴られる。
執事が止めに入るがそれでも彼の怒りは収まらず、
何度も何度もミシェルを蹴りつける。



顔が腫れている。
明日には、腫れはどんどん増すだろうな・・・



「お兄様・・・その怪我はどうなされたのですか!!」



運悪く妹のメアリにその姿を見られてしまった。
俺の天使に こんなゴタゴタは かかわらせたくない・・・



「・・・」


ポンと手を頭に置く。


「心配するな、なんてことはない、ほら早く寝ないと寝坊しちゃうぞ」



・・・
・・・・


翌日、学術機関
取り巻きは、俺から距離を取る。
父親から何か言われたのか?まぁいい



たった一人、屋敷へ帰る・・・




人気のない道で、怪しい仮面の男がどこからともなく現れた。



『誇りを取り戻したくはないですか?』



仮面の男はにたりと笑う。










鍵の管理を任されているんだぞ