オリジナル小説

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交易都市ロズワード
そこにはたくさんの石の建物が並んでいた。
美しい都市だった。
たくさんの人々が住んでいた。
活気があった。
しかし、今は廃墟と化していた。


そこに野獣の咆哮のように笑う、大男がひとり・・・




キロは夢を見た。
シスター「あなたを救ってあげたい」
子供「・・・助けてくれて・・・ありがとう」



シスター「あなたは村人全員を殺した、あなたさえいなければ」
子供「・・・僕を殺したのはお兄ちゃんだよ・・・」




使い魔「なんか10日程度会わない間にますますヤツれましたね、」
キロ「ははは、そうかなー」
使い魔(目が笑ってない)



使い魔「何かあったんですね?」
キロ「別に・・・」
使い魔(目に色がない)





天使はロズワードの隣町の掲示板を見ていた。


『グラナ火山帯に蔓延していた奇病、収束か』
ボルカ火山噴火ののちに蔓延したポルガ地方の謎の奇病で多数の死傷者がでていたが、
ここ数日で回復する者も多く、事態は収束に向かう模様
心停止から回復するケースが多く
現地の医師は「まるで死体が生き返ったようだ」と口をそろえている。



『覇王を名乗るテロリスト、ロズワートから動かず』
自らを覇王と称するテロリストの一団がロズワートを制圧して5日
ロズワート自治軍は周囲に包囲網を敷いている状態が続く
数日の期間をおいてまた動きが活発化するかもしれないとの予測から、
現地では緊張が高まっている
また、多数の避難民が発生して、その対応に追われている。



天使は丘の上からロズワードの様子をうかがう。
天使「・・・・・」
丘の下ではたくさんの軍隊が柵や城壁を強化する作業に追われていた。





キロはロズワート近くの街道筋を歩いていた。
キロ「こんな大きくてきれいな石の道なのに、人ひとりいないなんて、妙だな」
使い魔「なんか入っちゃまずい場所っぽいですね、さっき『通行止め』って看板ありましたし」
キロ「ええ、そのときに言ってよ」
使い魔「いえ、キロさんがあんまり無心で歩き続けるので邪魔をしては駄目かなと思いまして」
キロ「うう」




「こーーーーら!!!一般人がここに入っちゃ駄目だろーーー!!」
キロ「ひっ」





大げさな鎧に身を包んだ男がひとりこちらに近寄ってきた。
かしゃかしゃと音がうるさい


「俺はロズワード自治軍一兵卒のモダンだ。貴様らは一体ここで何をしている?」


キロ「キロと申します。通行止めの表示を見てなくて迷い込んでしまって」
モダン「ふ、はははは、言い訳が下手だな。ロズワードで起こっていることを知らない者がいるとは思えない。」




キロ「起こっていること?」
モダン「2週間ほど前だったか、いきなり何メートルもある大男が堂々正門の前にあらわれこう叫んだ。」



『吾輩は覇王である。今からこのロズワードの地にある財宝と土地は我が貰い受けた!!!』



キロ「まるで大昔の武将だな」

モダン「はじめ、ロズワードの軍部も頭のおかしいやつとしか見てなかったが、奴はたった一人、たった3日でロズワードを侵略し、今は、市民の方が追い出され避難している状態だ。ロズワード軍も町の周りに包囲網を敷いて奴の次の動きに備えている。」



キロ「それで、なんで、いち兵卒が単独でこんな場所にいるんだよ。」
キロは敬語を使うのをやめた。
このモダンは自分と同年代のようだったからだ。



モダン「貴様もこのモダンの名を覚えておくといい、今日を境に英雄として語り継がれることになるだろうからな。」
キロ「?」
使い魔「もしかして、単騎でのりこんで覇王と名乗るテロリストを抹殺しに行く命令をされたとか?」



モダン「その通り、だが、命令じゃない、俺の意志で、奴に天罰を下しに行くんだ。」
キロ「独断先行かよ、あとで懲罰がひどいんじゃ。それに勝算はあるのか?軍でも歯が立たなかったんだろ?」



モダン「はぁー思考が一般庶民過ぎる。」
キロ「・・・・」
モダン「多少のリスクは織り込み済みさ、だか、得られるリターンは限りなくでかい。あんなにつらい小間使いから、一気に軍部の上層部になれるかもしれないんだぜ。」
キロ「だが、失敗すれば死ぬぞ?」
モダン「それは最悪の場合さ、案外どうにかなるかもしれない、宝くじは買わなければあたらないってことさ」



モダン「正直現場を見ていないからいろいろ半信半疑なんだ。たった一人の男が軍に勝ったなんておとぎ話はとても信じられない。案外ふたを開けてみたら。大した敵でもないかもしれない。」